• 企業

化粧品市場はビジネスモデルの変更が必要と花王・尾崎社長

 花王は2月1日、東京・千代田区のホテルニューオータニにおいて有力販売店との懇談会を開催し、それに先立ち尾崎元規社長が記者会見を行った。

 尾崎社長は国内経済について、GDPは東日本大震災による輸出の急減や消費マインドの落ち込みからは回復が見られるものの「家計は依然厳しい」と話した上で、国内トイレタリー市場について「10~12月の3カ月で金額伸長100%、数量伸長101%、商品単価はマイナス1%強となっている。数量・金額とも堅調に推移しているが、引き続きデフレ化減少は止まっていない」との認識を示した。
 また、化粧品市場については「10~12月において金額伸長100%、金額伸長102%、商品単価はマイナス2%強となっている。全体的に低価格への移行傾向が進んでおり、従来の主力分野である2,000~5,000円の中価格帯が落ち込み、低価格品と高価格品への二極化が進行している」という。

 花王の重点方針については、「第1に、主力事業分野である国内トイレタリー市場を活性化する。第2に、市場の構造的な変化が進行している国内化粧品市場の活性化。第3に、成長を続けるアジア市場における事業発展。この3つに集約される」と語った。
 国内トイレタリー市場の活性化に向けては、環境意識の高まりや、アクティブシニアの増大、健康意識の高まりに対応した商品開発と提案活動を推進している。また、化粧品市場の構造的な変化への対応策として「従来のビジネスモデルを大きく変更することが必要で、重点ブランドの強化・絞り込み、高付加価値ヘアケア商品を含めたトータルビューティの提案、ソフィーナとカネボウ化粧品の共同提案を従来以上に強化していく」という。
 また、アジア展開については、「欧米および日本市場の伸びは停滞している。著しい成長を示し、今後高い成長ポテンシャルを有するアジア市場においてさらなる事業発展をすることが花王グループにとって最大の事業目標」との認識を示した。アジア市場といっても、日本や台湾、香港、シンガポールなど商品普及率が高く、成長の鈍化している成熟市場、中国やインドネシア、ベトナムといった人口が多く、経済ピラミッドのミドルゾーンが豊かになりつつある成長市場、そして成熟と成長をあわせ持つタイやマレーシアのような共存市場がある。「市場の特性、消費者の生活の変化を的確に把握することが非常に大切だ」と尾崎社長。
 特に成長市場の中で注目すべき中国においては、節水技術を活かした衣料用洗剤「アタック瞬清」が上海市場で10%を超えるシェアを獲得。ベビー用紙おむつの「メリーズ」も日本からの輸入品として圧倒的支持を集めており、今年末に安徽省合肥市に新工場を立ち上げる。

http://www.saiwaishobo.co.jp/form/scripts/sendImg/deleteBt.png