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ADEKAが食品部門の2012年新製品を発表

 ADEKAは3月28日、東京・荒川区の同本社で食品部門の2012年RISU BRAND新製品8品種9品目を発表した。

 発表会の冒頭、林義人食品企画部長は「2011年度は残念なことに大震災の影響をもろに受け、第3四半期の時に発表したように大幅な減収減益で、食品は営業赤字になりそうな危ういところがある。4月から始まる2012年度は、2011年度ではなく2010年度を超えようということで、戻るという消極的な表現ではなく、超えるという目標で国内はやっていく。また、海外展開にも弾みをつけて拡大して2010年を超えていきたい。そのためのテコとして、今日発表する新製品を足掛かりに伸ばしたい」と震災による難局を乗り越え、飛躍の年をめざすことを強調した。

 2012年度のRISU BRAND新製品の共通テーマは「商品と価値の創造で、お客様に貢献します」に定めた。震災以降、「無駄なものは買わない」「より良いものを選択する」といった消費活動や、「巣篭もり」「つながり、やすらぎ志向」といった生活者の意識、価値観に変化があらわれている。こうした変化をとらえ、顧客課題やニーズにマッチした新製品を開発した。また、昨年の震災以降、多くの取引先に支えられ、ほぼ前年実績に近いところまで回復してきたことに対し、新商品開発提案と商品価値の向上につながる貢献で応えたいという思いも開発テーマに込められている。

 加工油脂製品の新製品は4品種。
 「オリンピア」シリーズから、特徴ある食感が得られる折込用マーガリン2品を上市した。「オリンピアジューシーシート」は、純植でありながらバターを折り込んだようにコクのある風味とジューシーな食感のペストリーを得られる。このジューシー、しっとりした食感は、フレーバーリリースの向上にもつながっており、発酵バターのようなコクのある風味が感じられた。一方、「オリンピアクリスピーシート」は、歯切れ良く、軽い食感が得られ、また、ビス生地等を乗せたデニッシュの窯落ちを防ぎ、形状の安定にも優れている。クリスピーさと同時に、デニッシュの高さ、ボリューム感が出る。
 一方、練込用では、従来以上にソフト性を向上できる「プラズマDX」と、パンのクラムのキメを細かくし口溶けを向上する「パルラ」と、こちらも相反する特長を持たせた機能性油脂2品(ファットスプレッド)を上市した。
 「プラズマDX」は、パン生地に練りこむことで、経日的な硬さ変化が少なく、ソフトでしっとりしたパンが作れることが最大の特長だ。そのため老化しやすい、ぶどうパンやチョコ生地等、あるいはサンドイッチなどの冷蔵販売商品に最適だ。「パルラ」は、生地に練りこむと、グルテンの伸展性が向上し、生地中の気泡が壊れにくくなり膜薄でキメの細かいクラムのパンができる。乳脂肪球皮膜技術を用いることで生地の伸展性を良くしている。食パンや白パン等の口溶けを重視する商品に効果的だ。実際に試食した白パンは、生地がしっとり、飲み込むまでにスッと入っていく口溶けの良さが心地よく感じられた。

 加工食品製品の新製品は4品種5品目。
 「レジーナシート(ブルターニュ)」は、ブルターニュ産発酵バターを使用した自然な甘い余韻とコク味が特長のロールインフィリング。既存のレジーナシートシリーズ同様に、ソフトで口溶けが良く、しっとりとした食感のパンができる。バター風味がしっかり感じられるグレードとなっている。保存料、酸化防止剤、合成着色料、カラギーナン不使用となっており、600g×12と1.2kg×10の2品目を揃えている。
 「フルーツコンフィ(いちご)」は、ホール苺を大きく残したプレザーブ状のフルーツソース。自然で濃厚な風味とともに、インパクトのある酸味と鮮明で濃厚な色調が特長で、高級感がある。上掛けソースやムースの練り込み、ホイップクリームの混合用ソースに適しているほか、熱耐性はないもののジャムパンなどの後注入にも使用できる。
 また、6月よりホイップクリーム製品2品を上市する。「ピュアブレンドホイップ」は、純生クリームブレンド用ホイップクリーム。純生と任意の配合ができ、経日的な風味劣化や黄変、光劣化、保形性を改善し、純生クリーム本来のおいしさ、風味、口溶けを最大限に引き出せる。シャープメルト油脂、乳清ミネラル、発酵風味素材を用いることで乳風味を向上し、逆に、乳化構造を工夫(乳脂肪球皮膜)することにより香料やリン酸塩を使わず、乳化剤も低減するなど、乳風味の阻害要因を極力排除している。シャープメルト油脂を使用することで、純生クリームと「ピュアブレンドホイップ」が同時に口の中で溶けるようにすることで、純生クリームの口溶けを損なわない設計になっている。
 「ビーナスホイップSP」は、従来にはない常温(25℃以下)販売可能な自家立てタイプの加糖ホイップクリームだ。例えば、和菓子分野のクリーム大福、洋菓子店でも引き続き節電意識があり常温販売のケーキなどにも適している。生クリームのようなみずみずしい食感があり、すっきりとした口溶けが特長となっている。上述の「フルーツコンフィ(いちご)」など他の素材とのブレンド適性も高い。各種フルーツソースや、加糖練乳、固形素材、洋酒などをブレンドすることによって、オリジナリティのあるメニューが作れる。

 なお、新製品はいずれもトランス脂肪酸低減品として設計されている(油脂と無関係な「フルーツコンフィ」は除く)。