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花王新社長に澤田道隆取締役が内定

 花王は4月9日、取締役会を開催し、澤田道隆取締役執行役員が代表取締役社長執行役員に就任する人事を内定した。6月28日に開催予定の株主総会、取締役会後に正式に決定する。尾崎元規社長は代表権のない取締役会会長に就任する予定。
 澤田新社長は1981年に入社後、素材開発研究所長、サニタリー研究所長、ヒューマンヘルスケア研究センター長(現任)などを歴任。入社以来、31年間研究開発に携わってきた。

 尾崎社長は06年の社長就任以来の8年間を振り返り、グローバル化推進や国内事業強化のための一体運営、マトリックス経営の体制作りは整ったとの認識を示した上で、「あとはいかに創造力あふれる差別化された技術で商品・サービスを提供できるかが課題」と述べた。研究開発に精通した澤田氏に時代を託すと判断した理由についても「研究開発部門のリーダーを長く勤め、基盤研究から応用研究まで精通しており、当社の事業の根幹である“よきモノづくり”をグローバルに牽引する力量・見識を持っている」ことを第一にあげた。

 澤田次期社長は「入社以来31年間、研究開発に携わってきた。その経験を通して培った“よきモノづくり”へのこだわりを大切にして、今後、商品・サービス・ビジネス・社会貢献へと結びつけ、重責を果たしたい」と述べた。成長を加速するために「花王の特長である“絶えざる革新”へのこだわりをさらに強化することが課題。それによって、存在感、凄みをわかって頂ける会社にしていきたい」という。
 澤田氏の研究技術の経験を活かした革新がどのように事業展開に現れるかが注目される。「海外に目を向けると、当社の場合どちらかといえばプレミアム層に向けた商品が多い。今後成長していく中間層やボリューム層がターゲットになってくる。その層に向けて、プレミアム商品の安価版という考え方ではなく、その層のニーズに合った革新的な商品を出すスタンスに立つことが重要だ」と澤田氏。また、国内事業についても「高齢化傾向という今後の大きな問題が控えている。それに対し当社は、具現化できるベースをたくさん持っており、スピーディにまず当社が先んじて、新しい切り口で切り込んでいきたい」と力強く語った。