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日本植物油協会の今村新会長が記者会見
国際相場と国内市場の連動性確立を強調

日本植物油協会は5月21日、経団連会館において今村隆郎新会長の就任会見を開催した。今村会長は、先日同協会が創立50周年の記念式典を行ったことについて触れ、「50年の歴史を有する業界団体は必ずしも珍しくはないが、日本植物油教会の歴史を振り返ると、何より会員企業の皆さんがこの団体を必要としたこと、あるいは守り立てていくという意思を強くもったことを強く実感する。日本植物油協会は、技術、表示、国際交流等々、いろんな分野で確実な成果を挙げてきている。実際に運動する組織体として、食品産業界の先頭に立って、行動してきた。会員が日本植物油協会という団体に意見を集約して製油業界を一歩でも前進させたいという強い意思に基づくものであったと考えている」と語った。
 一方、現在の製油産業の厳しい環境について「会長として2つの基本的な課題の克服に向けて努力しなければならないと考えている。ひとつは、先輩方が取り組んでこられた、世界の動向と整合のとれた国内市場の確立という課題。植物油は多くの食品の中でももっとも国際的に共通点が多く、広範に流通する食品という特徴がある。したがって国際的な潮流と符丁を合わせることが何よりも重要になってくる。業界として特に努力しなければならないのは、国際市場と国内市場の連動性の確立であると考えている。容易に克服できないことは重々承知しているが、避けて通ることは許されない。変動のタイムラグをできるだけ短縮して、顧客の皆様にご理解頂くことを考えていかなければならない」との見方を示した。
 2つめの課題について、今村会長は「国内市場が徐々に縮小して行く中で、植物油の市場をどう維持して行くかという基本的な問題がある。また多様化している市場において、油種の構成をどのように考えるのかという問題も論議したい。とりわけ植物油は人間の健康増進に欠かせない栄養素だが、最近はこうしたことが忘れられている。こうしたことにどう対処していくのかということも重要な課題になってくる。植物油の価値を改めてきちんとお客様に発信して、正しく理解を得て行くことが重要になってくる。同時に日本人の健康増進にとって好ましい油種構成はどういうものかということを長期的な視点で、検討するということも必要。栄養問題というのは単純に割り切れないところもあるが、学者の方等々、見識のある方のお知恵をお借りして、こうした問題に取り組んでいきたい」との考えを明らかにした。