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かどや製油24年3月期決算は減収減益
 家庭用のラージサイズ拡販や業務用中食向け強化

 かどや製油は5月29日、東京・中央区のベルサール八重洲において決算説明会を開催した。
 平成24年3月期の業績は、売上高213億6,600万円(前年比2.1%減)、営業利益26億600万円(同4.4%減)、経常利益26億1,100万円(同4.3%減)、当期純利益14億3,900万円(同5.4%減)の減収減益となった。売上高を商品別に見ると、ごま油が170億2,400万円、食品ごまが38億8,100万円、脱脂ごまが4億6,100万円で、このうち、ごま油の用途別売上高は家庭用88億1,500万円、業務用63億4,500万円、輸出用18億6,300万円となった。
 決算概況を説明した戸倉章博取締役は、ごま油事業について「節電による外食から内食への回帰もあり、家庭用は順調に推移した。しかし、一昨年の食べるラー油ブームが下火となった影響や、一部の食品から放射能が検出された上、生牛肉による食中毒事件が起きるなど焼肉業界の冷え込み等があり業務用は落ち込んだ。輸出用は円高の影響もあり、微減となった」と語った。
 続いて小澤二郎社長が経営展望を説明した。今年度の販売計画について、ごま油は「家庭用はメイン商品である200gにウェイトをかけてきたが、さらに300g、400gのラージサイズの販売を積極的に進めたい。また、シェアが弱い地区に重点的に力を入れ、エリア対策の強化を図っており、その効果が少しずつ出ている。年間契約締結企業を増やし、店頭メニュー提案により販売を強化する。業務用は、大口需要家との新規取引で引き上げたい。また、デパート等の惣菜コーナーも充実しており、中食企業に対する売込みを積極的に行う。大手食品メーカーとのコラボレーションも積極的に開発提案し、今年は(昨年の)低迷から脱却して引き上げるかたちにしたい。輸出用は毎年4%の伸長を目指している。昨年は放射能問題で足踏みしたが、北米既存ビジネスの伸長や新規PB商品の話し合いも出てきている。東南アジアや欧州も今後の増加に期待している」と語った。

 売り上げ拡大策として、ごま油のPRにも積極的に取り組む考えだ。大手料理学校と連携して商品のPRやサンプルを提供するほか、将来のユーザー囲い込みを企図して大学の学生食堂に卓上使用のごま油を提供して自由な発想での利用促進を図る。また、「純正ごま油」購入者を対象に抽選で5,000円を計3,000名にプレゼントするキャンペーンを今年も4~6月に実施し、この間テレビCMも投入。「調合ごま油との違いをはっきりと押し出して訴求していく」と小澤社長。また、2年前から東京・名古屋・大阪の重点フォロー対象の量販店等においてキャスト活動にも力を入れ、さらに他食品メーカーと協同したメニュー提案等を実施している。
 また、2010年7月より販売を開始した「かどやのごまセサミン」を「ごま油、食品ごまに続く当社第3の柱としていく」と小澤社長は強調した。既存の「黒ごま&オリゴ糖」とあわせた昨年の販売金額は前期の約5倍に伸長し、1億円の売り上げに到達。今期はさらに倍増を目指す考えだ。インターネットなど情報ツールをつかって商品認知度の向上と購入機会拡大を図り、新聞やテレビ広告も投入する。また、カルビーやジャパンフリトレーをはじめ加工食品メーカーとのコラボ商品にも積極的に取り組む。

 なお、同社は3月29日に東証第二部に上場し、大証ジャスダックから移行した。小澤社長は「お客様に常に感謝の心を持ち、安心・安全かつ価値あるごま製品を提供することで、健康でより豊かな食生活の実現に貢献するという経営理念のもと、企業価値の向上につとめていく」と述べた。