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味の素が2012年秋季新製品を発表

 味の素は7月11日、東京・港区の品川プリンスホテルにおいて2012年秋季新製品試食説明会を開催した。

 横山敬一取締役専務執行役員(食品事業本部長)が会見し、食品事業の今後の方向性について説明した。まず、世界No.1調味料事業の実現に向けて、新市場の開拓は欠かせない。横山専務は「当社は現在、世界26カ国で事業を展開しており、現地法人の支店も入れると30数カ国になる。今後の市場の伸長を考えると、すでに人口が拡大しているアジアと、今後急増していくと思われるアフリカに注目する必要がある。昨年、バングラデシュ、トルコ、エジプト、コートジボワールに現地法人を設立したが、今年はミャンマー、パキスタン、カメルーン、東アフリカ、北アフリカ、そして中南米で新しい展開を考えていきたい」と述べ、第二の成長市場への参入機会を検討しているという。
 昨年度に参入した各国の状況については、バングラデシュは今年5月末に新工場が完成。エジプトやコートジボワールでも営業活動を開始している。トルコでは、外食を中心に事業を展開。また、ミャンマーでは14年ぶりに輸入許可を受け、「味の素」がヤンゴン港で通関され、休眠状態だった現地法人の再開作業を進めている。また、タイのアユタヤにMSG工場を、インドネシアのカラワンに風味調味料工場を現在建設中だ。
 「味の素グループでは、世界の生活者と現場に密着して、2013年には1億人のファン創りをめざしている。生活者・ニーズの変化、多様化を世界各国で捉えて、われわれの技術力や事業展開力で新しい価値を提供し、新たなファンをつくっていきたい」と横山専務は語った。特に日本では、生活者を意識してユーザー・流通業と協働する「B to B to C」の考え方を取り入れたマーケティング活動に力を入れている。
 「ほんだし」活用術や「クノール スープ」のつけパン・ひたパン訴求等でロングセラー品の活性化に取り組む中で、「Cook Do」も広告と売場の連動が奏功し、昨秋以降、発売34年で過去最高売上を更新している。特にTVCMに力を入れた「回鍋肉用」は品種別で長年不動の1位だった「青椒肉絲用」を抜き、社員給食や量販店惣菜売場向けといった業務用も連動して販売を大きく伸ばした。
 生活者により密着した活動を展開するためのプラットフォームとして、7月25日より「AJINOMOTO PARK」を開設する。双方向のコミュニケーションができるウェブサイトで、これまでの「CLUB AJINOMOTO」等では約30万人だった会員を、300万人まで広げていきたいという。
 また、量販店との取り組みでは、エリア状況や生活者情報を踏まえた様々な提案を店舗ごとにできるシステム(ALFA)を今年から開始した。
 また、独自の技術の活用では、「五味、コク味だけではなく、フレーバー、触感まで含めたおいしさ全体を構成するものへの技術構築をさらに強化したい。特に、微量成分の分析・解析技術を高度化し、それを素材化して、アプリケーション技術を加え、製品にしていく。この技術を使った製品を世界で展開している」という。

 2012年秋季新製品については、まず「鍋キューブ」が注目される。独自の風味素材やコク味素材を使用し、液体と同等のおいしさを実現した、キューブタイプの画期的な鍋用調味料だ。キューブ1個が1人前相当で、入れる個数によって味の濃さや作る量を調整できる。「驚きのおいしさと簡便性を提供したい」と横山専務は自信を見せた。
 また、マヨネーズ関連では、「ピュアセレクト コクうま 65%カロリーカット」を新発売する。Wエマルション製法にさらに磨きをかけ、おいしさはそのままで、既存の「コクうま」のカロリー55%カットよりもさらにカロリーを低減した。「ピュアセレクト マヨネーズ」と「ピュアセレクト サラリア」もパッケージを変更して改訂発売する。「コクうま」だけでなく、「ピュアセレクト マヨネーズ」も8年ぶりにテレビCMを投入する。
 「Cook Do」からは、冷蔵でも常温でも片手でチューブから絞りだせるペースト状の中華だし「香味ペースト」を発売する。動物脂のおいしさ成分であるアラキドン酸由来の味の素グループ独自素材を配合しており、くせのない、脂のコク味をもつおいしさを実現している。
 業務用「コクのチカラ」は、独自のコク味素材を複数・リッチに配合した調味料で、プロの調理人が時間や手間、コストをかけて実現するメニューごとにあった最適なコクを瞬時に再現することができる。高温・多湿な厨房でも固結を防げる新包材も採用した。

 試食説明会場には、J-オイルミルズも出展し、今春から展開している“ちょっとdeちょうどいい”300g新容量の「AJINOMOTO さらさらキャノーラ油」「同 あっさり炒め1/2」「AJINOMOTO 健康サララ」などの食用油や、マーガリン類を紹介した。「ラーマソフト減塩」は業界初の減塩マーガリンとして独自性があり、販売も好調に推移している。このたび、テイストクリア製法の特許取得を機に、“減塩でもおいしい”というコンセプトの認知拡大を図るため、全面的にパッケージデザインをリニューアルする。