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東京油問屋市場建値委員会が夏季納涼懇親会を開催

 東京油問屋市場の建値委員会主催の夏季納涼懇親会が8月21日に都内で行われた。米国中西部の干ばつを受けてシカゴ大豆相場等が高騰を続ける中、勉強会をあわせて行い、J-オイルミルズ東京支社業務用販売部第1グループ長の山野恵三氏が「原料相場状況」について説明した。下記に山野第1グループ長の講話を紹介する。
 なお、建値委員会の委員長はマスキチの金田雅律社長、副委員長は富田産業の喜田正道取締役とカネダ・食品油糧産業本部の松田直樹氏が務める。


 今年のシカゴ大豆相場を思い起こすと、1月からアルゼンチンやブラジルの降雨量不足を背景に南米大豆の減産懸念から、徐々にシカゴ相場は上昇し、12~13ドルに上がってきた。3~4月のコーン相場が高く、米国農家が大豆よりもコーンを植え、大豆生産が減少するのではないかとの予測から、大豆相場は急上昇した。その後、ファンド等の手仕舞い売りが出て少し下がったが、5~6月から米国の気候の降雨不足が懸念され、それが現実のものとなり、7月に入って17ドル台の相場をつけた。その後、ロンドン五輪が始まった頃に雨がほんの少し降って、相場が下がったりしたものの、そのタイミングで中国の買いが入り、上がったり下がったりという状況だ。しかし、下がったといっても16ドル台であり、大変な状況というのが現状だ。

 8月10日に米国農務省が発表した需給予測は、作柄の悪化が予想される中で注目を集めていたが、事前予想以上に悪い結果だったと受け止めている。収穫面積の予想は、7月発表の7,530万エーカーから7,460万エーカーに下がり、単収は40.5bu/エーカーから36.1bu/エーカーに下がった。1エーカー当たり約120kgの減少であるから、かなり大きな減少になる。
 当然、生産量も下方修正され、7月発表の30億500万buから26億9,200万buへ3億5,800万buの減少という予想になった。生産が減少し、価格が上昇が見込まれ需要は若干減少するという予想になっているが、期末在庫量は1億1,500万buと2003/04年以来の低水準であり、在庫率は4.19%と史上最低レベルが見込まれている。

 その原因となったのが、米国中西部の天候で、2012年は8月になっても乾燥エリアが過去最大でかなり厳しい状況だ。過去2年間と比較してもコーンベルトの干ばつの深刻さがわかる。コーンは7月の雨が重要で、もうどうしようもない状況。大豆は8月に雨がまだ降れば多少の回復の見込みがあり、少しは降っているが、今、非常に天気が重要な状況となっている。
 8月に入り、中西部に降雨が散見されても、米国大豆の収穫が本格化し、生産量が確定するまでは、しばらくは投機筋の売りも期待できないだろう。
 こうした中で、中国の米国大豆の成約状況を見ると、今年は過去にも増して非常に輸入需要が旺盛で、成約進捗が例年に比べて早く、8月現在で1,100万トンを超え過去最高レベルの成約量になっている。
 中国の搾油マージンも当然悪化していると思われるが、ミール需要がタイトで大豆を大量に輸入してミールを作りたいという事情が予測できる。しかし、中国は油価の統制も行われており、今後どれだけ買うかは不透明だ。ただ、時折サプライズを行うので、今後の動きに注目していく必要がある。

 一方、カナダのナタネについてもシカゴ大豆相場の影響を強く受けながら、ウイニペグ相場は600~620ドルの高値圏で推移している。ただ、カナダナタネの今期作柄は非常に良く、生産量は1,600万トンを超える大豊作が見込まれている。しかし、中国が300万トン程度買いに入ると予測されており、豊作だが期末在庫率は低水準が見込まれ、大豆と同様に高値推移が続くと予想される。

 今後の相場変動要因としては、ファンダメンタルズでいえば相場支援材料が多い。米国の作柄悪化や堅調な需要による現物タイト感がある。現在の着鞘期の降雨があれば、多少回復する可能性もなくはないが、逆に雨が降らなければさらに上昇し、また、中国の需要も旺盛で、在庫率も史上最低が見込まれることから、タイト感がさらに強まれば、上昇する可能性がある。
 外部要因としては、EU諸国の金融不安の状況や、中国・インド等の新興国の景気減速、ファンドのテクニカルな手仕舞い売りなどが挙げられ、暴騰・暴落の可能性を秘めた波乱材料といえる。
 いずれにしても、大豆相場が13~14ドルになったものを現在斗缶で200円の値上げをお願いしている状況であり、16ドルの大豆をまだ搾っているわけではない。今後、16ドル大豆を搾っていくことになると、大幅な値上げを覚悟せざるを得ない、という中で、現在商売をしているということだ。