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日本水産が鹿島工場見学会を開催

 日本水産は10月19日、メディア関係者を対象に鹿島工場の見学会を開催した。
 同社のファミンケミカル事業の中核を担う鹿島工場は、2007年4月に稼働。工場内には、油脂工場、化成品工場、オリゴ糖工場の3つのプラントがあり、敷地面積は6万5,000㎡に達する。油脂工場では、EPA97%の医薬品の原料魚油エチルエステル、EPA・DHA、魚油由来コレステロール、化成品工場では、オレンジラフィー油、オレイルアルコール、スクワラン、キトサン誘導体など化粧品素材、オリゴ糖工場では、キチン・キトサンオリゴ糖、アセチルグルコサミンなどをそれぞれ生産している。
 EPA・DHAの生産は、短行程蒸留(SPD)方式の採用で、外部が250度の高温のタンク内に入った粗魚油が、70度の内部の低温部に接してダイオキシンなどが液化し、精製油と分離される。その結果、ダイオキシンは水道水の基準(0,001pg/g)以下まで低減される。また、魚油から分離される、コレステロールは、フィッシュコレステロールとして、育児用乳添加物や化粧品用途などに向けて販売されている。
 同社のファインケミカル事業は、2011年度連結決算で売上高は259億円、営業利益は61億円であるが、これを2014年度には売上高380億円、営業利益100億円に引き上げる計画を進めている。
 売上の大半を占める医薬品向けは、国内での高シェアの維持を図っていく。「エパデール」のOTC化が10月17日に認可されたことから、さらなる拡大が期待されるところだ。海外でも医薬品としての展開を進めていく考え。
 特定保健用食品の「イマーク」は、売上が順調に推移しており、直近では昨年比2倍伸びをみせている。10月1日に常温流通可能な「イマークS」を発売し、購買者数の増加が期待される。
 育児用粉ミルクでは、国内では大手乳業メーカー向けに販売しており、海外でも韓国や中国向けの販売が徐々に伸びているという。
 関口洋一執行役員ファインケミカル事業部長は「医薬の強みをベースに機能性脂質のリーディングカンパニーをめざす。日本だけでなく、グローバルの展開に向けた基盤を作っていきたい」と話している。