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日油協が第9回JOPAセミナーを開催
「パナマ運河の拡幅が、南北アメリカの貨物輸送に及ぼす影響」をテーマにヴィッカーマン氏が講演

 日本植物油協会は2月13日、東京・日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルにおいて第9回JOPAセミナーを開催した。今回は貨物輸送の専門家で海運コンサルタントのジョン・ヴィッカーマン氏が「パナマ運河の拡幅が、南北アメリカの貨物輸送に及ぼす影響」をテーマに講演した。

 ヴィッカーマン氏は、コンテナ輸送を中心に世界の海運市場でアジア各国の存在感が高まりつつあることや、船舶の大型化が進んでいることを説明した上で、現在拡幅工事が進められているパナマ運河の完成時期について「パナマ大統領は元々、パナマ運河の拡幅は2014年に完了するといっていた。パナマ運河誕生100周年にあわせたかったからだ。しかし、建設が遅れたり、労働問題もあり、パナマ運河が拡幅後サービスを開始するのは2015年半ばになると思う。2014年はシステムのテストなどが行われる予定だ」との見方を示した。
 パナマ運河を通る船舶数は1970年代から年間1万4,000隻前後で大きな変化はないが、船舶の大きさは年々大型化しており、パナマ運河の拡幅によって通貨可能なコンテナ船のサイズは従来4,800TEUから1万2,600TEUへと2.5倍となる。
 「現在、原油を運ぶグローバルな船舶のうちパナマ運河を通る船は0%だが、拡幅後には42%が通れるようになる。LNGの輸送船は現在10%しか通れないが、拡幅後は90%が通れるようになる。ドライバルク船は従来の55%から80%が通れるようになる」という。

 一方、パナマ運河の拡幅後の料金体系は明らかになっておらず、「現在進められている拡張工事が実現するまで、世界は固唾を呑んで、どのような価格設定が行われるのかを見守っている」と語った。パナマ運河の拡幅後、スエズ運河の料金体系や北米の一級鉄道における貨物輸送の競争力強化も今後の物流を大きく左右するだろうとヴィッカーマン氏は見ている。

 なお、講演内容については月刊油脂2013年4月号で取り上げる予定。