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東京油問屋市場が第114回起業祭を開催

東京油問屋市場が第114回起業祭を開催


 東京油問屋市場は3月25日、東京・中央区のロイヤルパークホテルにおいて第114回起業祭を開催した。
 第1部の式典・立会いでは、はじめに宇田川理事長が式辞を朗読。前身組織の江戸油仲間寄合所の開所から354年の歴史を振り返った上で「変転極まりない経済界の荒波を乗り切るためには、伝統の歴史と新しい時代の流れに順応して、製販懇親・融和の実をあげつつ、油脂業界の振興発展に寄与していく」と語った。続いて行われた立会いに先立ち金田雅律建値委員長が挨拶し、豊作といわれながらも大豆、ナタネが高値水準にあることや為替の円安などについて触れた上で「ミールも関係するかと思うが、考え方としては、もう少し(油価が)高いところにあっても良いのかなという気がしている。年度末、モノが仮需も含めてもう少し動いて良い気はしているが、4月以降の増税も少し心配な要因」と述べた。立会いは全品同事となった。
 第2部の講演会では、歌舞伎俳優の片岡亀蔵夫人・片岡明美氏が「歌舞伎の話あれこれ─役者の妻が語る─」と題して、歌舞伎の始まりや役者の嫁の七つ道具など夫人ならではの切り口で講演を行った。

 その後、第3部の懇親パーティでは、はじめに宇田川理事長が挨拶を行った。東京油問屋市場が明治34年に再興して起業祭が始まったのは1901年のこと。宇田川理事長は「普通は創立記念祭とか創業記念祭という言葉を使うが、なぜこの起業祭という名前になったのか」について歴史を紐解きながら独自の見解を示した。「この起業祭という言葉をインターネットで調べると、他にはひとつしかなく、福岡県の北九州博多東区のお祭りで『まつり起業祭八幡』というものがある。官営の八幡製鉄所ができたのがちょうど当市場の起業祭と同じ明治34年の11月。(ヨーゼフ・)シュンペーターという経済学者が起業家とイノベーションという言葉を作ったらしいが、だいたいその頃に活躍していたので、当時、起業という言葉が流行っていたのか何かなのか」という独自の見解を披露した。一方、「消費税の増税ということで1月の終わりくらいから仮需の話が騒がれているが、油に関しては家庭用は若干売れているようである。業務用は残念ながら、今日(の建値立会い)は同事だったが、去年は(大豆油、菜種油、菜種白絞油が)300円高、その前の年が200円高で、この時期、油が上がることが多かった。新年度からは消費税がアップして、桜も今日、開花宣言しており、もっと油を大切に製販一体となって販売していきたい」と述べた。

 続いて来賓を代表して日本植物油協会の今村隆郎会長が祝辞を述べた。その中で今村会長は、当日東京都心の桜の開花宣言が発表されたことを受けて「桜の開花が1日遅れると食品の売り上げにだいぶ影響を与えるそうであり、早く開花をして頂いた方がわれわれにとっても良いことになる。製油産業は早く本格的な春を迎えたいと思っているが、待つのではなくて春を呼び込まないといけない。昨年は北米もカナダも大豆もナタネも豊作だったが、価格自体はそう大きく下がらなかった。これはもう基本的に、国際的な穀物需要のファンダメンタルが非常に底堅いということであろうし、もうひとつは、カナダと南米で物流インフラの問題があった。これも価格が高止まりしたひとつの要因になっている。穀物高や円安傾向もこれからまだ続くと思われ、エネルギーコストや資材費、パートさんの賃金や運転手さんの不足による物流コストも大きく上がってきている。これから諸々のコストアップ要因が穀物の原料高だけではなくて、製油産業にダメージを与える可能性も十分にあると思っている。今年は、まだ天候要因が不透明で、去年のように豊作であれば良いが、円安の中で不作になると大変な問題が出てくる。その意味では、値下げできる環境にはまったくなく、むしろこれからどうやって上げていくかということを真剣に考えて行かなければいけないところだと思っている」と述べ、製配販一体となって、本格的に製油業界にとっての春を呼び込みたい考えを示した。
 その後、同市場の島田孝克顧問が乾杯の音頭をとり和やかな懇親に入り、金田康男副理事長の油〆で散会となった。