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J-オイルミルズが第4期中期経営計画を説明

 J-オイルミルズは3月27日、東京・中央区の銀座クレストンで第4期中期経営計画説明会を開催した。新中計の基本方針は第3期中計と同様に「安定と成長 2020」に置くが、2014~20年度の7年間を対象とし「質の向上を伴った『構造変革』」を新たな理念として取り組んでいく。

 新中計の策定にあたり楳田社長は4つの観点を要諦として挙げた。ひとつは、穀物、油糧種子の価格均衡点の不可逆的な移動。これまでのように低価格では原料を入手できず、高い原料を手当しなければならない点だ。2つめは、業界再編が創り出した高収益体質の瓦解。3つめは、油脂・油糧以外の事業規模、事業範囲拡大の未実現。そして4つめは同社や油脂産業にとって、高金利、消費増税、円安、エネルギー費高騰など日本経済の変化による収益圧迫や、今後TPPへの参加の影響は大きな課題になる。楳田社長は「このままで2020年やそれ以降を迎えるわけにはいかない。何としても『安定と成長 2020』を実現するためには、質の向上を伴った構造変革をやり上げなければならない」と強調した。
 「2020年までに実現しなければならない当社の姿」というように、望ましい姿ではなく必ず実現しなければならないと表現したところに楳田社長の固い決意がみなぎっている。2020年度の数値目標としては、連結売上高2,500億円(2013年度見込み2,140億円)、営業利益120億円(同60億円)、営業利益率5%(同3.1%)、ROE8%(同5.6%)を掲げた。営業利益の領域比率の内訳については、国内75%(同99.5%)・海外25%(同0.5%)へと海外事業を引き上げて行く。事業別では製油事業を70%(国内60%・海外10%)、食品事業を20%(同10%・10%)、ファインケミカル事業を10%(同5%・5%)とし、13年度見込みの製油91.5%、その他8.5%という事業構造から大きな変革を図る。
 その実現に向けて、楳田社長は6つの構造変革を挙げた。ひとつめは製油領域での変革。安定供給体制の強化とともに7カ年で50億円の収益改善を行う。また、高付加価値ミールの開発・拡販・海外展開を図る。さらにTPPを見据えて飼料需要が最大25%減少する可能性を考慮し、搾油ビジネスモデルの変革を進める。同社は現在、千葉から神戸にかけて4つの搾油工場を持っている。原料は海外からの輸入に依存しており工場の立地は、油脂の大消費地にあることが多い。一方、飼料需要の減少が予想される中、「このピンチを脱し、チャンスに変えるか。当社は国内搾油事業を今後も継続する。したがって、原料から搾油、ミールの生産、飼料として消費するという一貫した生産が行われている状態を今後も構築したい。昭和40年代に作られた搾油工場は老朽化が進んでいる。すべての工場にわたる必要はないが、ある工場に対しては“Crushing for Oil”ではなく、“Crushing for Meal”というビジネスモデルを念頭に置き、老朽化した工場を対象にスクラップ&ビルドの戦略を取る」と述べ、配合飼料メーカーや商社との連携により、国産ミール市場を確保し、搾油拠点を再編して最適キャパシティ・立地での搾油体制を再構築する考えを示した。「対象は1工場になってくると思うが、主にはミールを得たいがための搾油事業を展開するビジネスモデルに変えていく。非常に近しい有力な飼料企業、飼料工場とのチャネルをこれまで以上に強める、太くすることによって、われわれ有利の飼料原料販売が可能になってくる」という。また、搾油の受委託を前提としたアライアンス体制の構築も進め、「当社グループではないインディペンデントな企業との受委託をして、業務提携関係を新しく作って行こうという考え方」であると説明した。
 そのほか、食品・ファインケミカル領域の事業強化、海外事業、仕事の質の改革、組織の変革、人材の育成・変革を掲げた。