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日油協楳田会長、コスト増に対し「待ったなし、正念場の1~3月」

 日本植物油協会は12月18日、東京・千代田区の経団連会館で忘年懇親会を開催した。
 開会に際し楳田純和社長が挨拶を行い、2014年を振り返るにあたって天候異変や石油価格の下落、選挙を含めた国内の政治動向などについて触れた上で、食品・油脂産業や日用品についてはデフレからの脱却や好況感を実感するところに至っていないのが現状ではないかとの見方を示した。ただ、「残念がってばかりはいられない。脂質栄養、油を摂ることは、たん白質栄養を摂るとともに長生きの秘訣であり、そのことを消費者の方に良くしってもらい、高齢化が進んでも油脂の需要が落ちないような食育、啓蒙も進めていかなければならない。足元で言えば、通貨が非常に弱くなっており、円も120円前後になっている。このレベルになると、ゆっくり値上げをというわけにいかないことは自明と思う。コストが上がったことによって、われわれがどういう行動を取るのか、(各社の2015年1月からの価格是正について)先月からもう動きが始まっているが、年が開けたらもう待ったなしというところで、商品価値に見合った価格に戻していかなければならない。あるいは、コストを大きく意識した製品価格を実現しなければならない。本当に正念場の1~3月になると思っている」と語った。
 一方で、「油の消費が低迷しているかというとそうではなく、油の使われ方の形は変われども、総量はまったく落ちていない。だからわれわれも自信を持って価値に見合った製品買っ買うの実現に立ち向かっていきたい。同時に、食品の中で基幹的な産業であり、食糧を供給するという大きな役割、使命を持つ業界、産業である。しっかり生産をし、国民の皆様方の健康に寄与し続ける強い信念をこれからも持ち続けていきたい」と強調した。

 また、日本植物油協会は同日、平成26年製油業界10大ニュースを発表した(楳田会長と製油業界関連業界紙9社の投票により選定)。
 1位は「円安の進行が、製油業界には原料コスト上昇圧力となる」で、2位は「米国大豆生産量1億トンを超え、史上最高の生産量に」、3位は「消費税、平成26年4月から8%への引き上げ。1~3月の駆け込み需要と4~6月の反動が顕著に」となった。
 4位以下は下記の通り。
 4位「配合飼料生産量が、豚流行性下痢等もあり、2,400万トン水準を割り込む」、5位「世界的な大豊作を背景に、CBOT大豆は一時9ドル水準に低下。しかし、世界の旺盛な需要を背景に、10ドルを上回る高水準で推移」、6位「米国、南米の豊作により、世界の大豆生産量は3億トンを超え史上最高を更新の見通し」、7位「2014年産カナダ菜種は、昨年の大豊作から一転300万トンの減産となるも、史上第2位の生産量」、8位「国内搾油工場新設の動き」、9位「大豆搾油量、低下傾向に歯止め、増加に転ずる(2年ぶりに200万トン水準に回復か)」、10位「飼料向け需要、大豆ミールの減少、菜種ミールの増加に歯止め。大豆ミール輸入が増加に転ずる」。