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ゴマ業界が合同賀礼会を開催

 日本ごま油工業会と全国胡麻加工組合連合会、油糧輸出入協議会は1月28日、東京・港区の芝パークホテルにおいて合同賀礼会を開催した。
 全国胡麻加工組合連合会の北村弘一理事長(北村商店・取締役相談役)は6月に理事長任期満了後の引退を示唆した上で、ゴマブームの歴史を振り返った。海外旅行が制限され、大豆・ナタネの輸入が割り当ての時代でも「どういう訳かゴマだけが自由に輸入することができ、商社や問屋が輸入した。当時、日本は食糧不足でゴマはよく売れたのが、日本のゴマの第1次ブームだった。第2次ブームは中国が突然ゴマを大量に輸出し始めた頃で、ピークには1年間で30万トン輸出したと記憶している。ゴマの価格が大幅に下落し、色々なゴマ製品が開発され、ゴマの消費の多様化が始まった」。しかし、現在では中国が年間57万トン近くのゴマを輸入する時代にあり、「世界的にゴマの供給がひっ迫し、色々な困難が発生している。ゴマの供給を増加する手立てが必要になるが、方法はある。機械を利用したゴマの生産は非常に難しいことだが、昨今の日本の卓越したロボット技術等を利用し、ゴマの機械化による生産拡大をできると思う。どうかゴマの生産が世界的に拡大し、第3次、第4次のゴマブームが日本で起こることを希望する」と語った。
 また、日本ごま油工業会の竹本信二郎会長(竹本油脂・取締役専務執行役員)は「業界は一昨年来、非常に原料が高い状況が続いており、昨年は原料高と農薬汚染、円安で三重苦という非常に厳しい環境にある。その中で、少子高齢化、長引くデフレという構造的な問題が続いている。昨年、中国のゴマ輸入量は57万トンと過去最高だった。世界的な人口増加、異常気象、新興国の需要拡大が相まって、乱高下を繰り返しながら、右肩上がりの原料高が長期に続くと想定せざるを得ない。加工食品メーカーは安全・安心対策もさらに進める必要性に迫られている。安全・安心な商品をいかなる原料環境でも安定的に供給していくためには、追加的なコストを確保する必要がある。そのコストに見合った適正な販売価格の形成が最優先課題である。そのためには、コスト環境を理解頂くための情報発信を継続努力していかなければならない」と語った。
 また、竹本会長は、ゴマ油のPRについて「昨年、一昨年とオリーブ油がゴマ油よりも需要量を追い越している。オリーブ油もクセのある油だが、ゴマ油の消費者へのPRが不足しているのかなと感じる。ゴマ油は風味を良くする調味油としてPRすることで、需要拡大の余地があるのではないか」とゴマ油市場の拡大に意欲を示し、「ゴマ油業界の健全な競合関係ができるように努めたい」と語った。
 その後、農水省食品製造卸売課の妹尾宏明課長補佐の来賓挨拶に続いて、三菱商事の西尾秀生マネジャーによる「ゴマの世界需給及び相場推移の中長期展望」と題してゴマ原料の現況説明が行われた。
 第2部の懇親会では、日本ごま油工業会の小澤二郎副会長(かどや製油・社長)の乾杯発声で和やかな懇親の場へ。全国胡麻加工組合連合会の服部友久副理事長(浜乙女・会長)の中締めで散会した。