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第115回食用加工油脂技術研究会が開催

 全日本マーガリン協会の食用加工油脂技術研究会は6月12日、東京・日本橋の油脂工業会館で第115回食用加工油脂技術研究会を開催した。
 今回は、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の南明紀子氏(自然保護室森林グループパーム油担当)が「持続可能なパーム油の調達と海外の動向」について、また、島津製作所の渡辺淳氏(分析事業部ライフサイエンス事業統括部MSビジネスユニットマネージャー)が「DART-MSとその応用─直接イオン化法DARTを用いた食品分析─」について、それぞれ講演した。

 南氏は、パーム農園の開発にともなう環境・社会面の問題や、2004年にWWF等が持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)を立ち上げ、世界各国で普及に取り組んでいることを説明した。欧米では環境NGOや消費者団体の活動が活発で、豪州では動物園や消費者団体による非認証油の不買運動も行われており、世界的にRSPOを基準として取り入れ、パーム油の調達方針を示す企業が増えている。最近の動きとしては、RSPO基準だけにとどまらず、泥炭地や高炭素貯蔵量(HCS)の森の開発禁止を掲げる動きまで見られる。
 生産者や製油業から商社、消費者製品製造業者、環境NGO、社会NGO、銀行・投資家、小売業者までRSPO会員は2,000を超える一方、日本の会員数は現在32にとどまっている。

 渡辺氏は、直接イオン化法「DART」による質量分析(MS)について解説した。DARTは、形状を問わず、気体・液体・固体もイオン化できる。試料表面の付着物質や内部に存在する物質、香気成分などもかざすだけで直接分析できることを実例を挙げながら紹介した。