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マルハニチロが2015年秋季新商品発表会

 マルハニチロは7月15日、東京・江東区の同社本社において、2015年秋季新商品発表会を開催した。在宅向け介護食からは、日清オイリオグループの中鎖脂肪酸油(MCT)を業界で初めて配合した新製品「もっとエネルギーシリーズ」4品を発売した。「牛肉のおじや」「カレーうどん」「トマトソースのスパゲッティ」「ちゃんぽん」をラインナップする。一般的な油よりも素早く消化・吸収され、すぐにエネルギーになる天然成分である日清オイリオグループの中鎖脂肪酸を使用することで、従来品と比較しエネルギー量1.5倍を実現した。販路はドラッグストアやカタログ販売を主とし、少量で効率良くエネルギーを摂取したい高齢者のニーズに応える。
 
 発表会の冒頭では、伊藤滋代表取締役社長が挨拶し「商品開発では、社会の変化を背景に多様化する生活者のニーズに応えて、わかりやすい価値の提案を行う。具体的には、ロングセラー商品の持つ“変わらない良さ”、時代の変化に合わせて新しい価値を提案する“変わる良さ”の両方を追求していく。当社が特に注目する新しい価値は生涯健康だ。日本は世界でも類を見ない超高齢化社会に突入している。一方、高齢者も含め、女性の社会進出は今後さらに進むと考えられる。これらの社会変化にともない、生活者の健康に対する意識がさらに高まると予想される」と今後の見通しや展望を語った。
 続いて、横手貞明代表取締役専務が、2015年秋の商品開発背景と提案の考え方について説明した。食志向の傾向調査では、現在の生活者の消費行動は健康・簡便化・美食の3つが伸長し、それによる購買行動の変化においては、価格重視と価値重視の2つの層に分散してきていると分析した。また、価格重視においては単に安いことから時間短縮などの“スマート”消費へと節約意識が変化している点を、価値重視においては安心ブランドを担保とした商品を選ぶ点をそれぞれ指摘した。これらの消費者マインドから同社は、一人一人のライフスタイルへのこだわりに対応する“変わる良さ”と、信頼できるブランドの“変わらない良さ”を読み取り、商品提案を図っている。
 変わる良さについては、初めて出会う喜びや驚きのある商品を目指し、今後進めていきたいカテゴリーとして、冷蔵保存で出来立てのおいしさを長持ちさせられるチルド惣菜「ロングライフチルド」を挙げた。変わらない良さについては、伝統食やロングセラー商品が持つ安心感は、いつでもどこでも同じ味、同じおいしさであることなどが消費者の信頼・支持を勝ち得るという考え方で、変化の激しい時代だからこそ“ぶれない”という価値をキーワードに商品を提案している。今秋20周年を迎える市販用冷凍食品「新中華街」や、業務用冷食、すり身食品、高齢者にも開けやすい1秒オープンの包装にリニューアルした魚肉ソーセージなどを紹介した。 
 
 さらに同社は、昨年発表した中期経営計画「Challenge toward 2017」の実現に向けて、これらの2つの価値に加えて、“さらなる挑戦力”を掲げている。わが国の健康寿命と平均寿命の差という現状を踏まえて、顧客/社会のニーズ、企業の理念、そして原料調達力や食品加工技術、DHAを主とした健康素材に関する知見といった企業の強みを活かした生涯健康計画というメッセージを発信している。その具体的な商品群の1つに位置するのが、日清オイリオグループと共同開発した「もっとエネルギー」シリーズを含むメディケア商材だ。横手専務は「当社はメディケアについては長年やっている。今までは、ある意味引き算の世界。硬いものは柔らかく、カロリーは低くという発想があったが、今回はもっとエネルギーということで、パワーアップをした高齢の人が将来もっと健康にというための商材」と逆転の発想について説明し、今後の展開に期待を寄せた。