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不二製油:グループ本社制に移行し変革と挑戦 CBEとチョコレートへの傾斜強める

 不二製油グループ本社は11月10日、東京・港区の浜松町東京會舘で2015年度第2四半期決算説明会を開催した。連結業績は売上高1,340万9,800万円(前年比4.7%増)、営業利益64億3,600万円(同0.2%増)、経常利益59億2,600万円(同7.5%減)、純利益36億2,200万円(同22.7%減)となった。
 清水社長ははじめに、「変革と挑戦」をテーマに足元を固めて将来に向け新たな事業を作っていくという考え方を実現するため、10月からグループ本社制へ移行したことを説明した。権限委譲とコミットメントを進め、経営のスピードを上げ、新規事業の創出とグローバル経営を推進することがその目的だ。グローバル経営のキーワードには、コストとスピードと現地化を挙げた。グループ本社に連なるエリア統括会社を置く形で、社員の国籍も多様な中、異文化の壁を超えてグループ全体で価値観を共有するため、グループ本社制への移行と同時に、使命や目指す姿、基本となる価値観を明文化した「不二製油グループ憲法」を策定した。また、環境・社会・企業統治などを経営の重点課題と認識し、取締役会の諮問機関としてESG委員会を設置して、新しいガバナンス体制も構築した。
 上期決算の概要については、まず、「今年、不二製油は大きな判断をして200億円以上を使ってブラジルのチョコレートメーカー(ハラルド)を買った。そうすると社外の方々、特に競合相手から不二製油はチョコレートメーカーだと見られる。どちらかと言うと、あれもこれもしている会社に見えていたが、大きく一歩足を踏み出している。不二製油のコア・コンピタンスは、(CBEを中心とした)チョコレート用油脂とチョコレートそのものにある」ことを強調した。地域別の損益については「概ね日本・アジアは好調に推移している。特に日本は、チョコレートと大豆たん白の中でも大豆多糖類の販売が好調だ。板チョコばかりではなく、多くはアイスクリームやケーキ、ビスケットに使われるが、それらのチョコレートが非常に好調だった。大豆多糖類は主に酸性飲料の安定剤、あるいはおにぎりや炒飯、麺類などに使われている。アジアは製菓・製パン素材の調整品の利益が回復し、製菓4品(チョコレート、クリーム・発酵食品、マーガリン・ショートニング、フィリング)が好調だった。米州は買収したハラルドの経費が上がった。欧州は(育児粉乳用の)健康油の競合が激しくなり採算が少し厳しくなってきている」と総括した。
 2016年3月期の業績予想は、売上高3,000億円(前年比10.3%増)、営業利益160億円(同12.6%増)、経常利益144億円(同7.4%増)、純利益95億円(同1.8%増)としている。売上高と営業利益は期初予想を据え置いたが、新興国等の通貨安による外貨建て債務の為替評価損を織り込み、経常利益と純利益は下方修正した。
 清水社長は、ハラルド社について「6月に最終買収を確定した辺りからブラジル経済が悪化しており、通貨が極端に弱くなっている。原料代や金利が上がり、当初の見通しの利益が出ないところはあるが、それ以外のハラルド社のビジネスモデル、われわれの考える戦略について何ら変わったところはない。不二製油はチョコレートに特化すると言ったように、半期の売り上げよりもチョコレート業界でのプレゼンスを上げていく」と力強く語った。