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昭和産業の新妻一彦新社長が就任会見

 昭和産業は4月15日、東京・千代田区の銀行倶楽部において、新妻一彦社長の就任記者会見を開催した。
 新妻社長は1957(昭和32)年10月1日生まれで現在58歳、福島県いわき市出身。明治大学経営学部経営学科を卒業し、昭和56年の入社後すぐに神戸工場総務課に配属となり、経理番でスタートした。その後、大阪支店や本社で主にブドウ糖の営業職を経て、鹿島工場の新製粉工場竣工に先立ち平成4年に製粉部へ移籍。平成10年に、岩手県一関に本社があった子会社のみつわ食品の社長として出向し事業整理などに着手、翌年にはその後継となった菜花堂の初代社長に就任した。
 平成13年に昭和産業へ戻り、広域営業本部長に就任、以降、平成18年製粉部長、平成21年執行役員、平成24年常務取締役、平成26年専務取締役を経て、今年4月1日付で代表取締役社長に就任した。
 経営方針については、まず、「今年が『中期経営計画12-16』の最終年度である。したがって、現在の経営方針・経営計画をしっかり引き継ぎ、これを仕上げていくことに邁進していく。岡田会長を中心に社員一丸で目標に向かって歩みを進めてきた結果、達成まであとわずかというところまできている。今年に入り、個人消費の低迷、中国をはじめとした新興国経済の減速、為替の変調など厳しい経営環境が続いているが、当社グループ全員がベクトルを合わせ、経営方針(誠実な行動、力の結集、明日への挑戦)のもと、施策を遂行し、『人々の健康で豊かな食生活に貢献する』という当社の企業理念を実現していきたい」と述べた。
 今後の取り組み課題として新妻社長は「当社として初めての試みとなるが、当社の戦略の一環性をより高めるために、10年後の創立90周年(125期=2026年3月期)のあるべき姿、目標となる長期ビジョンの策定を進めている。この長期ビジョンをもとに、今後中期計画を3~4回まわしていきたい。明確にプロセスを定め、これまで掲げている財務的な指標以外のKPI(重要業績評価指標)導入を検討したい」との考えを明らかにした。
 長期ビジョンの経営戦略の骨子については、「昭和産業グループ全体としてさらなる飛躍を遂げるために、まずしなければならないのは『事業領域の拡大』『グローバル化の推進』『ステークホルダーとの対話』をキーワードとして掲げている。昭和産業グループは、ここ数年で着実に体幹が鍛えられ、逞しい経営体質になってきた。今後、この基盤事業の体幹強化はもちろん継続して行っていくが、この幹にしっかりと繋がった枝葉を増やして、たくさんの果実を付けることが重要だと思っている。TPPの大筋合意や少子高齢化、人口減少、単身世帯の増加など影響はいろいろあるが、消費者ニーズやマーケットの商品構成も変化していくと思われる。このような環境変化に対して、まず生産能力の拡大への投資を行わなければならない。さらに事業領域を拡大する意味ではM&Aや業務提携、海外マーケットの拡大、新しい組織形態も積極的に検討していきたい。また、会社としてさらなる成長を目指す上では、マーケットとの対話も重要と考えている。今まで以上に情報を発信し、株主や投資家の皆さんとの対話を通して当社が目指す方向性を理解して頂ければと思う」と新妻社長は語った。
 今後の経営戦略を進めていく上で、新妻社長は「企業ブランド戦略のさらなる強化が必要」との考えを示し、「持続的な企業価値の向上を実現し、『穀物ソリューション・カンパニー』をネクストステージへ進化させていかなければならない」と強調した。国内トップクラスの穀物サイロを背景とした穀物取扱量と、多岐にわたる事業を展開する強みを活かして、複合系ソリューションを提供することで、企業価値の向上に努めていく方針だ。