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日本植物油協会・今村隆郎会長が就任会見

 今村会長は2012年から日油協40代会長を務めており、今回42代として2度目の就任になる。「昨年はほとんどの製油企業で製油事業領域の収益は大幅に悪化した。業界各社は粘り強く油価改定に挑戦し続けたが、消費者物価指数の低下に象徴されるように、既存の植物油を中心にコストを踏まえた適正な価格転嫁が上手く行っていない」と振り返る。今後も様々な変化が予想される中、特にTPP協定に関しては「製油業界とミール販売を通じた関係の深い畜産業界への影響が懸念され、政府による対応措置が注目される。どういう局面を迎えるにしても、植物油業界としては、高度に洗練され、健康・安心・安全志向を高めつつある日本の消費者ニーズや世界の動向を踏まえて、植物油を核とした商品開発を強化し、高度で繊細な技術、販売力を活かした事業領域を拡大し、コスト削減等を進める形で、いかなる変化がきても柔軟に耐え得るシステムを作り上げ、同時に高付加価値化を確保し得る産業競争力の強化に業界一体となって邁進する必要がある」との考えを述べた。
 製油業界の宿命として、原料相場と為替に左右される体質はやむを得ないにしても、そうした変化に柔軟に対応できる体質を作り、相場に左右される影響の幅を極力少なくしていく取り組みが求められている。コモディティ化し利益が出にくい構造になってしまった商品に代わる新商品開発や、大豆やナタネをはじめ油糧・油脂原料の値位置が大きく変化してきた中でコスト構造にメスを入れなければならないとの思いがある。コストに応じた価格改定は重要だが「それだけではこれからは限界がくる」との危機感を今村会長は持っている。
 一方、最近の植物油を巡る変化のひとつとして、植物油の健康価値への関心が集まっていることは「植物油の市場活性化の意味では注目に値する」との認識を示し、「日油協のアンケート調査においても、オリーブ油をはじめアマニ油、コメ油といった多様な油が注目を集めている。各企業はこうした顧客ニーズを的確に反映した価値ある商品開発を通じて、植物油市場が付加価値の高いものになるように業界全体が協力していくことが求められている。今年は新たな変化胎動の火を消すことなく持続的なものにできるかが問われる年になる」と語った。