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花王 課題事業変革と新事業創造で次期中計K20の準備

 花王は6月1日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京に有力チェーンストア等の取引先を対象にした「花王コラボレーションフェア 2016」を開催したのに先立ち、報道関係者と懇談会を行い、澤田道隆社長が花王の今後の方向性や商品動向などについて説明した。
 澤田社長は、世界的景気は悪いとは思わないがそんなに良いとも思わず、消費マインドもまだ上向きになっていないが、トイレタリー・化粧品の市場は堅調との見方を示した。市場が堅調な中で、花王の状況については「第1四半期は売上・利益とも前年を上回っており、予定より上手く進んでいる」と評価した。特に、日本とアジアの家庭品事業が総じて好調で、シェアも高い水準を維持できたことが、その大きな要因だ。また当然ながら、昨年後半から原材料価格低下の恩恵を受けており、今年前半まではそのメリットが出ると見ているが、澤田社長が強調するのは「変化に迅速に対応するだけでなく、できれば自らで変化を起こしていくことが重要で、これが今後の業績を大きく左右していく」ということだ。
 2016年は現在策定中の新中期経営計画「K20」の準備の年と位置づけており、その準備の大きなテーマは課題事業の変革と新しい事業の創造に置いている。一番の課題事業に挙げたのは、化粧品と「ヘルシア」だ。
 化粧品については「基本的にはスキンケアの大改革になる。特長ある化粧品ブランドがここ10年間に数多く出てきた。コレスポンデンス分析をすると、ソフィーナ、カネボウ化粧品ともある意味総合化粧品ブランドだが、特長や存在感が少しなくなってきている。このままでは確実に両ブランドとも厳しい状況になると、危機感を持って大きな改革に取り組もうと考えている」という。
 「ヘルシア」については、「ヘルシア緑茶」が脂肪を代謝する力を高めるとの特定保健用食品の表示許可を新たに取得し、リニューアル発売していく。これによってヘルシアの事業を再度成長軌道に乗せ、広く食品ビジネスに展開していくための大きなきっかけにしたい」と意欲を見せ、「蓄積してきた食品そのものに関する花王らしい特長を出したベースを活かしていく方向が見えてくる。そうなると将来を支える大きな事業になってくるので、花王の持続的成長に寄与する方向性が出てくるのではないか」と期待しているという。
 一方、新しい事業については、既存事業の境界領域や、日本市場とは異なるグローバル市場での展開、技術やケミカルでM&Aを行い、リンクシナジーを出していく考えだ。