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不二製油グループ本社が世界初の「安定化DHA・EPA」を開発

 不二製油グループ本社は6月14日、東京・港区の品川プリンスホテルアネックスタワーで「事業構想発表会」を開催し、酸化しやすいという欠点を画期的に改善した「安定化DHA・EPA」を開発し、新規事業の中核としていく方針を明らかにした。
 会見の冒頭挨拶を行った清水洋史社長は「かなり気合が入っている。画期的な発表になる」と切り出した。世界経済が活発といえない中で、企業の存続は社会的な貢献が前提であり、意義のあることを行い、価値を作り続けられる会社だけが生き残る時代だと清水社長は考えている。「不二製油グループは、おいしさと健康で社会貢献をすると決めた。おいしさと健康共創フォーラムの1回目を昨年行い、大豆関係のUSS技術を発表した。今日は不二製油の名に恥じないように、油の新しい技術について報告する」と述べ、会見後の第2部「第2回おいしさと健康共創フォーラム」を前に事業構想を披露した。

 油脂を構成する脂肪酸の一種であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)は、ヒトが体内で合成できないため必須脂肪酸のひとつとなっている。特にDHAは、脳や神経、肝臓に多く含まれ、生体機能に重要な役割を果たしていると考えられるほか、アルツハイマー型認知症の原因物質のひとつであるアミロイドβを低下させるなど、認知症予防に有望な素材としても期待されている。しかし、「DHA・EPAは健康優位性は高いが、慢性的な摂取不足にあり、日常的な摂取が推奨されている。また、DHA・EPAの酸化安定性の低さが、油脂が本来最も消費される食品での広がりを制限し、市場拡大を阻んでいる」(同社未来創造研究所・加藤真晴シニアマネージャー)という。
 通常、油脂の酸化安定性を高めるには、油溶性の抗酸化成分を使うのが常識となっている。しかし、酸化安定性が極めて低いDHA・EPAに一般油脂並みの酸化安定性をもたせることは、これまでの技術では困難だった。そこで、ビタミンCやポリフェノール類といった難溶性抗酸化成分の安定分散技術を開発し、長期に渡る安定分散を可能にした。
 なお、この「安定化DHA・EPA」には、発酵生産で得られる藻類DHA・EPAをメインの原料に選定している。2017年度から本格的な販売開始を目指す。