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第40回日加菜種予備協議  新穀1,800万トン超とほぼ最高レベルの豊作予想

 今年で第40回を迎えた日加菜種予備協議が7月13日にカナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州ヴィクトリア市で開催され、日本代表団が7月22日に農水省で記者会見し、その概要を報告した。会見には日本代表団の宮川愛浩団長(日本植物油協会国際部会長、J-オイルミルズ原料部長)らが出席し、日本植物油協会の齊藤昭専務理事が概要を説明した。

 生産農家の見解についてはカナダナタネ生産者協会(CCC)のブレット・ホルステッド会長が説明した。ナタネは収益性の高い作目だが、種子、肥料、薬剤等いずれも他の作目に比べ高く、ハイリスクな作物との認識を示し、実際に同氏の農場があるサスカチュワン州ではレンズ豆の方が収益性が高い。今年の生育状況は、春にアルバータ州とBC州に加え、サスカチュワン州の一部が乾燥状態だったが、作付開始以降の状況は劇的に改善し、全体的に順調となった。ノミハムシをはじめとした害虫問題や、菌核病等の病害対策に気を遣っている様子はうかがえるが、現段階で農家は満足している状況にあるという。
 カナダの新穀の需給展望については、カーギル社のジェフ・プレスカ氏が報告した。昨年は、アルバータ州、サスカチュワン州が7月半ばまで乾燥状態で、降雨が少なかった。その結果、今年はアルバータ州、サスカチュワン州南部、マニトバ州西部において降雪量が平均以下の乾燥状況で迎え、早期播種には好都合となった。播種後に適切な降雨があった。しかし、6月以降も降雨が継続し、平年の150%と振り過ぎの地域も出てきた。サスカチュワン州など比較的乾燥している地域でも降雨があり、むしろ単収を引き下げる病虫害への懸念があり、農家は必要な対応を取っている。一部地域の乾燥懸念はあるものの、植物生育健康度指数をみると、今年の作物の生育条件は昨年に比べて高く、理想的な状況にある。
 今年のナタネの作付面積は、前年比50万エーカー増の2,043万エーカーで、アルバータ州が前年比5%増の641万エーカー、サスカチュワン州が同1%増の1,082万エーカー、マニトバ州が同1.5%増の319万エーカーと推定している。拡大の主因は小麦からの転作。春小麦の作付面積は150万エーカー減少、アマニも100万エーカー減少し、ナタネ以外にエンドウやレンズ豆といった豆類が前年比300万エーカー増えたとみている。また、夏の休耕地は史上最低の水準になっている。
 ナタネ新穀の単収については、39.4bu/エーカーに若干上昇するとの予想を示した。今後の懸念要因として、8月の霜リスクに加え、水分過多で雨が多いと農薬散布が有効でなく、病害虫のコントロールが難しいことが挙げられたが、予備協議段階では、今年のカナダナタネの生産量は1,820万トン(平原3州以外も含む)が見込まれ、過去最大の2013年を30万トン下回るものの、最高レベルの豊作が予想される。州別では、アルバータ州618万トン、サスカチュワン州876万トン、マニトバ州368万トンとしている。
 プレスカ氏が示したカナダのナタネ需給見通しは表-1の通りで、2016/17年度のカナダのナタネ搾油量は、最近の搾油マージンの拡大と生産量の増加予想から840万トンに迫る見通しとなっている。カナダのナタネ油の需要としては、約800万トンの搾油量から約350万トンのナタネ油が生産され、そのうち180万トンが米国向け、100万トンがその他海外向けとなっており、残りがカナダ国内用(少量のBDF需要を含む)になっている。
 一方、輸出量に関しては前年比8%減の926万トンに減少すると予想しており、その主因は中国の輸入量が前年の390万トンから320万トンに減少すると見込まれるためだ。米国はカナダ同様に搾油マージンが高いことからナタネ需要は増加を見込むが、パキスタン向けは価格の問題から、輸出量の減少を見込んでいる。
 これらの結果、2016/17年度の期末在庫は215万トン、在庫率は12%程度と想定されている。