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花王・澤田社長が利益目標達成に自信
売上げも実質成長では高い伸び

 花王は11月22日、東京・港区のホテルニューオータニで有力販売店との懇談会を開催した。懇談会に先立ち、澤田道隆社長らが記者会見し、トイレタリーや化粧品市場、花王グループの状況等について説明した。
 澤田社長はトイレタリー、化粧品市場については、「個人消費の伸びが抑えられているのも関わらず、堅調に推移してる。SRIで見ると、トイレタリーは上期(1~6月)で103%、7月103%、8月99%、9月101%、10月103%で、下期ここまでを見ると101%くらいで推移している。11月も市場伸長率は高く、年間では102~103%で着地すると見ている。予想以上にこの市場は堅調。化粧品は、上期は101%、7月102%、8月98%、9月102%、10月100%で、下期ここまでは100%だから、多分化粧品も100%を割れることなく、100~101%くらいで着地するのではないか」との見方を示した。
 個人消費が伸びず、市場によってアップダウンはあるが、トイレタリー、化粧品市場はなぜ堅調なのか。澤田社長はその理由について「多様化するターゲットに対して、価値提案がしっかりできていることと、安売りも少なくなってきている」ことを挙げた。
 インバウンド消費の効果については「昨年より上回っているものの、伸び率は低下してきた。昨年より下がっている商品もあるが、提案の質を変えて、良い形で色々な取り組みを続けている。どこまでをインバウンドと見るのか難しくなってきているが、昨年より伸びは少なくなっても、少し上回る金額で今年を終えるのではないか」と予想した。
 花王グループの現状については「ひとことで順調に推移ていると自信を持って言える。第三四半期を終えた段階で売上高は1兆551億円、前年同期比0.9%減だが、為替の影響を除くと実質昨年に比べて3.6%伸びている。これは昨年が2.9%程度の実質の伸び、それから昨年終わった『中期3カ年計画 K15』の3年間が実質3.1%の売上げの伸びだったから、現時点での実質3.6%の伸びは結構高い。営業利益は1,312億円で12.7%増えている。親会社に帰属する四半期純利益は864億円、18.1%増で、利益は2桁増なので、今のところまでは非常に順調に推移している。10月もすでに終わり、11月も半分以上過ぎたが、予定に近い線で推移しており、今年を終えた段階で売上げは為替の影響でどう動くかわからないが、公表した利益は達成できる見込みで進んでいる」と自信を示し、「年末までの頑張りがあと1カ月半残っているので、少しでも公表数字に上乗せして終わりたい」と語った。
 日本のコンシューマープロダクツ事業では、ファブリック&ホームケアが特に好調だ。トイレタリー全体の市場を上回る形とで、この分野の市場は推移していることもあるが、「われわれの提案が大きく寄与して、ファブリック&ホームケアは伸びている。利益率の高い事業なので、大きな支えになっている。スキンケアでは特に『キュレル』や『ビオレ』が伸びている。『キュレル』は最近ずっと2桁成長を続けており、100億円を超える大きなブランドになってきた。オーラルケアやメンズ、入浴剤、『めぐりズム』を含めたパーソナルヘルス製品も堅調に推移している。一方、これまで少し厳しかった『ヘルシア』も復調してきた。化粧品は、一昨年秋口から大改革を進めており、今年9月にカネボウ化粧品の大改革に踏み切ったが、化粧品に関しても確実に伸長している状況で、全体としては日本のトイレタリーのコンシューマープロダクツは非常に良い形で推移している」と評価した。
 海外については、「アジアのコンシューマープロダクツについても好調で、中国、インドネシアを含めて、台湾も良い形で進んできている。欧米のコンシューマープロダクツは前年に比べて非常に堅調な伸びをしており、利益もきちんと出してくれる方向で進んでいる」という。
 ケミカル事業については「これまでは年末にしたがって、油脂価格のアップダウンもあったが、転依なるコール等はトップメーカーであり、今は天然油脂価格が上がっているが、いち早く値上げ交渉を行い、大きな影響を受けずにここまできている。年末まで割りと堅調に推移する」との見通しを示した。
 2016年の事業全体の状況を総括すると、全体的に順調に進んでいることは間違いない。