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味の素 海外食品はアジアに加えアフリカでも積極投資  発酵ナチュラルフレーバーの将来性に期待

 味の素は11月8日、同本社で2017年3月期第2四半期決算説明会を開催した。
 上期の連結業績は、売上高5,225億5,900万円(前年比11.4%減)、営業利益391億5,700万円(同17.1%減)、経常利益424億3,800万円(同14.7%減)、四半期純利益250億3,600万円(同40.3%減)の減収減益となった。
 減収の主な要因は、海外食品の換算為替影響が346億円減、動物栄養の販売単価下落影響等が135億円減、その他では再編による医薬事業の持分法適用影響等が160億円減。営業利益の減少についても、海外食品の換算為替影響が48億円減、動物栄養の販売単価下落影響等が60億円減が主因となっている。
 西井孝明社長は、成長モメンタムの加速化に関して、まず成長ドライバーのひとつである海外食品のコア展開について「Five Starsではブラジル、インドネシア、ベトナムは今期も2桁成長である。15年度と成長率を比較すると、ブラジルが大幅増、インドネシア、ベトナムが昨年同様の成長率、タイ、フィリピンは前年よりも伸びが低い状況で、タイは上期、現地通貨ベースで若干前年を割り込んでいる。しかし、5カ国ともうま味調味料と風味調味料は安定的に売上げを伸ばしており、市場を牽引している。タイ、ベトナム、インドネシアの3カ国に総額100億円を投じて、2017年に完工する生産供給体制の増強を行っている」と説明した。
 安定成長事業である日本の冷凍食品については「現在、家庭用、業務用合わせて前年比約6%伸びているが、食卓市場の拡大というトレンドをリードする形で、家庭用ではコア商品『ギョウザ』『ザ★チャーハン』が大きく伸びている。ここには12月に『ザ★シュウマイ』を発売して、さらなる強化を狙う。業務用も惣菜中心に拡大しており、外食・給食市場も堅調に推移している」と述べた。
 一方、15年8月に長谷川香料との業務提携後の進捗については「現時点までに発酵ナチュラルフレーバー(バニリン)をラボスケールで生み出すことに成功している。今後この共同開発を工業化の段階に進めることを決めて、今日アナウンスしたい」と語った。フレーバー市場は2020年に向けて年率5~6%伸長し、2020年に1.6兆円の市場になると言われているが、その20%を占めるのがバニラフレーバーで、主な用途はチョコレートやアイスクリーム等の菓子に使われている。既存バニラフレーバーの98%は合成品と見られ、すでに欧米の大手菓子メーカーや飲料メーカーがナチュラルフレーバーへの切り替えを表明しており、「近い将来、ここが大きなビジネスチャンスになる」とみている。
 さらに会見当日、味の素はアフリカに広く食品事業を展開するプロマシドール・ホールディングス社の株式33.33%を558億円で取得することに合意し、株式売買契約を締結した。「今後はプロマシドール社が持つ強固な販売基盤と当社が持つ製品開発力と技術を組み合わせることによって、プロマシドール社とともにアフリカ市場におけるリーディングプレイヤーになることを目指す」と意気込みを示した。
 なお、次期2017~19年度中期経営計画については、2017年2月17日に公表予定。財務目標と非財務目標が一体となった「ASV統合目標」を策定し、2020年に向けた最終コーナーの走り方を示していく考えだ。