• 企業

日清オイリオグループが「技術開発センター」見学会を開催
知と技を集結した価値創造と情報交流を推進

 日清オイリオグループは5月22日、横浜磯子事業場内に建設した新研究開発施設「技術開発センター」の見学会を開催した。
 技術開発センターは昨年11月末に竣工し、今年1月より稼働を始めたもので、同社の研究開発拠点としては歴代3つめの施設になる。歴史を振り返ると、1959年に横浜神奈川工場(東神奈川)内に試験課(商品検査)なども入った研究所を建設し、研究部が発展するかたちで、日清製油研究所に改称、独立したのが始まりである。以降、油化学を中心に研究開発を行ってきた。その後、研究員が増えたこともあり、1995年に横須賀事業場を完成させ、新たな研究所と食品開発センターを設置し、研究開発部門の大部分を移した。今回、横須賀から中央研究所を移転し、技術開発センターを横浜磯子事業場内に開設した背景について、上田善博理事中央研究所長は、「当時は、企業の研究開発はアイソレートされ、しっかりとじっくり研究開発すべしという流れもあった。しかし昨今、よりマーケットに近いところで、生産との連携・融合を図りながらスピーディなモノづくりを進めていくこともあり、横浜磯子工場があるこの(横浜磯子)事業場の中に技術開発センターを建設した」と語った。
 設計コンセプトで重視したことは大きく2点ある。ひとつめは、知と技を集結して、研究員の創造性、価値創造を逞しく推進できる場を作ること。2つめは、情報発信や情報交流の場を作ること。つまり、知恵や知識、知能といった知の部分と、技術や技能、技巧といった技を集めて、研究員が創造性豊かに研究開発できる場を作り、顧客や取引先に来て見て、色々なものに触れてもらえるような情報交流の場にしたいという思いを持って設計されている。

 技術開発センターは、1フロアがおよそ30m×50mの約1,500㎡の地上3階建てで、延床面積は4,284.4㎡となっている。建物外観の全面に、公園の立木をイメージした垂直ラインが広がっているのは、同社グループのコーポレートステートメントである“植物のチカラ”を表現したもの。技術開発の先進性と都市交通網の都会的スピード感を意識し、室内機能を考慮した横連窓の水平ラインを重ねることで、この場所オリジナルのリズムを織りなしている。
 1階は新商品の紹介、商談の場となる来客ゾーンとして、また、研究員間の技術開発の発表・情報交換の場として、開かれた空間としている。テストキッチンや2つのチョコ実験室、製菓製パン実験室のほか、結晶性油脂などのパイロット設備や一部の加工油脂の設備等を設置した食品パイロットなどがある。
 2階、3階はクローズドな研究開発のスペースになっている。従来の横須賀事業場の実験棟は、各グループ毎に居室と実験室を構えていたが、「この技術開発センターでは居室は1カ所に集め、実験室も機能別に配置している。例えば、ガスクロや液クロ等の実験機器も1カ所に集めているので、違うグループが実験室の場でも出会い・交流ができることを期待して、機能別の実験室というかたちで運用している」(上田所長)という。
 2階は、研究員の居室として公園側の眺望を配慮した位置にフリーアドレスの大部屋を配置し、集中スペース・交流スペース等をフレキシブルにレイアウトできる空間を設けている。居室エリア以外には、テストキッチンや各種実験室、官能検査室などがある。2階の実験室は「1階の裏付けを取るための大きなテストキッチンや大規模のフライヤーがある。
 3階は、機能別に大きな実験室を設け、効率的かつ機能的な空間としている。また、通常の階段とは別に2階と3階を繋ぐ連絡階段を設置し、効率的な動線に配慮している。大きな実験室が2つあり、商品開発と、溶剤抽出・分析が行える実験室を分けている。また、機器分析室も2つあり、ガスクロ中心に集めた分析室と、X線解析装置や光学顕微鏡、液クロなどを集めた分析室に分かれている。