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日清オイリオグループが新中計「OilliO Value Up 2020」を策定

 日清オイリオグループは3月28日、同本社において、2017~20年度の4年間を対象とする新たな中期経営計画「OilliO Value Up 2020」の説明会を開催した。
 会見で今村隆郎社長は、はじめに2016年3月期で終了した前中計の推進過程で特に留意してきたことを2点挙げた。ひとつは、製油業界が原料のほとんどを海外から輸入しているため、穀物原料相場や為替の影響を受けやすい特徴があるものの、「この変動をできるだけ少なくし、安定的な収益をいかに作るのかが大きな課題」だった。2つめは「環境がどう変わろうとも毎年少しずつでも増益を果たし、利益を積み上げてアップトレンドに持っていくこと」に注力してきた。その2点の評価について「ひとつめはまだ道半ばだが、付加価値品の比率を上げることと、加工油脂・ファインケミカルでの海外での事業拡大を進めること、そして、生産面・物流面のコスト構造を変える取り組みを行ってきた結果として、2つめの目標である毎年少しずつでも増益を果たしてきたと考えている」と語った。16年3月期も増益の見通しで、前中計期間の3カ年、あるいはその前を含めれば4期連続増益を達成することになる。

 「OilliO Value Up 2020」の経営ビジョンには「日清オイリオグループは、110年にわたって培ってきた卓越した油脂に関する技術をもって、お客様のニーズや課題を解決することで新たな価値を生み出し、市場を創造する」ことと、「日清オイリオグループは、豊かな食卓の提案、人々の健康への貢献を通じて、企業価値の最大化を目指す」ことを掲げている。その鍵になる3つのキーワードはGlobalization、Technology、Marketingだ。「グローバリゼーションでは、海外事業を積極的に拡大することで、アジアを中心に成長する海外市場をさらに開拓し、ますますグローバルブランド“日清オイリオ”を目指したい。テクノロジーについては、当社が110年にわたって培ってきた油脂を中心とする技術力で新たな価値を生み出していきたい。横須賀にあった研究所を磯子に移転し、技術開発センターを新たにスタートしているが、こうした生産と研究開発の融合で新たなるシナジーを追求すると同時に、国内外の技術開発のハブ機能として、技術開発センターを最大限に活用して、当社が強みを持つ構造油脂技術をさらに進化させたい。3つめのマーケティングは、今まで以上にお客様の行動、購買心理や動機といった視点に立って、付加価値商品の開発と事業展開を行っていきたいということである」という。
 基本方針は「事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移す。そのために、新たなヘルスサイエンス事業を含む5つの成長戦略と2つの基盤強化策を実行する」としている。また、2020年度の経営目標は、営業利益130億円以上、ROE7%以上、EPS成長率8%以上(年平均)、営業キャッシュフロー500億円(累計)を掲げた。経営目標の進捗を管理するために、KPI(重要業績評価指標)も設定した。