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ライオンが膝・腰痛へのNSAIDsの有効性で新知見

 ライオンは11月28日、東京・江戸川区の平井事業所で「膝や腰などの身体の痛みに対する解熱鎮痛成分の有効性の新知見」に関する説明会を開催した。同社薬品研究所の工藤康史研究員が、変形性膝関節症モデルにおける二次痛覚過敏や、筋・筋膜性疼痛の機械痛覚過敏に対するNSAIDsの効果について解説した。
 膝関節痛の痛みを止めるために医薬品に用いられる鎮痛成分には、一般用ではアセトアミノフェンのように中枢神経系に作用するとされるものがあるが、アスピリンやロキソプロフェンNa水和物、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は痛み物質を発生させる酵素COX-2の働きを阻害し、一次神経の過敏化を抑える効果しか知られていなかった。
 ところがNSAIDsの中でもアスピリンとロキソプロフェンNa水和物に、アセトアミノフェンを有意に上回る二次痛覚過敏における鎮痛効果をライオンは発見した。医療用で用いられるCOX-2選択的阻害剤であるセレコキシブには有意差がないことから、アスピリンやロキソプロフェンNa水和物にはCOX-2阻害以外のメカニズムで二次痛覚過敏を改善する可能性が示唆された。
 一方、非特異的腰痛の原因のひとつである筋・筋膜性疼痛に対して前述3種のNSAIDsすべてとアセトアミノフェンともに経口投与で改善することを発見した。この系でもセレコキシブに有意差はなく、COX-2に非依存的な鎮痛メカニズムがある可能性が示唆された。
 ライオンは、今後、さらなる作用メカニズムの解明を進め、痛み対処の啓発や病態に基づく最良の鎮痛薬の開発に応用していく。