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日本植物油協会・八馬会長が就任会見
5つの“安”を核に業界発展と価値作りを

 日本植物油協会は5月28日、東京・一ツ橋の如水会館において八馬史尚新会長の就任会見を開催した。
 八馬会長は「油脂の業界で仕事をして3年目になるが、油脂といっても用途も油種も多岐にわたることを感じている。業界を取り巻く環境も油脂によってそれぞれある」とした上で「安全、安心が食品における基本で、ここを担保していく仕事はもちろん各メーカーの努力もあるが、業界として非常に大切な役割だと認識している。トランス脂肪酸にせよ遺伝子組換えの問題にせよ、これまでとは少し流れが変わってきている。安心と安全の距離が広がってきており、従来は科学的に(安全と)検証されたものについては安心と理解されていたところだが、一方でネガティブな情報がネット等を含めて広がりやすくなっている。それも科学的に立証されたかどうかは別にして、情報として拡散しやすいものが大きく取り上げられる。逆に本当に正しい情報がきちんと伝わりにくいということが色々と起きている。そのギャップをどう埋めていくのか、お客様に安心して頂ける情報を提供していくことが重要な役割になっていると感じている。そういうことを担保していく上でもメーカーとして、あるいは業界として安定収益をあげる事業であることが重要であるし、その要素として生産性と価格の問題があろうかと思う」と語った。
 その生産性と価格の問題については「国を挙げてこれからたかめなければならない仕事で、業界としてどう取り組んでいくのが大きなテーマと思っている。価格のところは、消費者物価を見てもここ何十年と油の価格は低下傾向にある一方で、原料にせよ、物流・人件費といった経費は上昇傾向にある中で、安心・安全を担保するための研究開発を含めた投資を行っていく上でも収益基盤を強固なものにしていくことが業界として取り組むべき重要なこととなっている。もちろん健全な競争の下で、という大前提があるが、そういう取り組みがこれからも必要になる」という。
 一方、「安定調達、安定供給ということで、原料も大きなボリュームで使っている。これらは今、国際政治の影響を受けて変動しているのもまた事実である。これまでも歴史的に原料原産地国とのコミュニケーションをしっかり図る中で、安定調達、安定供給を実現してきたが、これを今後も一層強化していく必要があろうかと思う。ということで、“安”にこだわって、安全、安心、安定収益、安定調達、安定供給は取り組みの核と思っている」と語った。
 八馬会長がもうひとつの重点に挙げたのが「共生」だ。「社会と企業、業界のあり方は環境問題しかり、サステナビリティも包含されるかもしれないが、人権問題までを含めて、原料を使うという環境負荷について一メーカーだけでなく業界として俯瞰して取り組む問題と考えている。各社の状況を含めながら、全体で強調して努力し、業界全体の発展に繋がるよう、あるいはお客様の価値を作れるように取り組んでいきたい」との考えを示した。