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第42回日加菜種予備協議で過去最高を更新する2,159万トンの生産量を予想も

 第42回日加菜種予備協議が7月11日にカナダ・オンタリオ州のトロントで開かれた。同協議について、日本代表団が7月27日に農水省で記者会見し報告した。会見には、川邊修団長(日本植物油協会国際部会長、日清オイリオグループ原料部長)らが出席し、日本植物油協会の齊藤昭専務理事が概要を説明した。
 同予備協議では「2018年における日本の油脂及び油糧種子市場の需給展望」、「2018年産菜種の作柄に関する生産農家の見解」、「2017/18年度におけるカナダ産菜種の需給展望」、「2018年1~5月の日本への輸入菜種の品質について」、「カナダ産菜種の研究」、「最近のカナダの物流動向」の6つの議題について協議した。

 今期の作柄に関する農家の見解については、カナダナタネ生産者協会(CCC)のJack Froese会長が説明した。今年の春、特に播種時期はかなり乾燥していた。乾燥した天候は農家にとって良くも悪くもある。雨が少ないと雪が溶ける時期が遅くなり、播種が通常より遅く始まるが、逆に雨が降らなかったことで播種を完了する時間を短くできる。今期の播種は非常にスムースに進んだ。乾燥天候であったため、植えた種子が発芽するか多くの農家が心配し、キャノーラより乾燥土壌で生育しやすい作物に切り替える農家も出た。しかし、5月末から6月いっぱいにかけて十分な雨が降り、状況はかなり変わってきた。極度に深刻な干ばつの影響は、平原州の中でもサスカチュワン南西部に限られ、主要な生産地の多くは同予備協議時点で通常の雨量を得ており、雨量が通常よりも少ない地域でも順調に生育している。ただし、多くの地域で土壌水分がかなり低く、今後さらに雨が必要になっている。

 カナダ産菜種の需給展望については、同国輸出業者等を代表してカーギル社のMary Birley氏が説明した。今期はここまで雨が少なく、乾燥天候という農家と同じ認識を示しつつも、長年にわたってわかってきたことはキャノーラは強靭であり、平均の水分でありさえすれば、キャノーラに影響はないとしている。そのひとつの根拠として挙げたのが、2015年のケースだ。その夏、アルバータ州のかなりの郡で農業緊急事態宣言が出されたように、非常に乾燥していた。しかし、7月末にタイムリーな雨が降った結果、単収は予想よりもかなり高くなったという例がある。
 播種面積に関しては、昨年に比べて45万8,000エーカー増の2,345万5,000エーカー(前年比2.0%増)と見込まれる。アルバータ州はエンドウ豆からの転換で、マニトバ州はインゲン豆からの転換でキャノーラの播種面積が上がったとみている。カナダ統計局は播種面積が前年に比べて1%ほど下がったという見方をしているが、それは控えめに過ぎるというのがカナダの輸出業界の見方となっている。
 単収については、2016年に43.1bu/エーカーと最高の単収を記録し、17年はそれに次ぐ41buとなった。2018年もほぼ前年と同様レベルの40.7buを見込んでいるという。41buに到達するには、かなりの雨量が必要にしても、40.7buであれば通常の雨量で達成できると考えているからだ。
 カナダ統計局は、生産量予想についても前年比4.6%減の2,033万5,000トンと慎重な数値を示しているが、輸出業者は前年を上回り2,159万トンになると予想している。その内訳は、サスカチュワン州1,110万トン(前年比10万トン減)、アルバータ州710万トン(同30万トン増)、マニトバ州320万トン(同10万トン増)で、これらに加えてオンタリオ州で19万トン(同2万トン減)の生産が見込まれる。

 搾油マージンが昨年より高いことと、生産増が予想されることから、国内需要(搾油)は930万トンを超え、前年から20万トン近く拡大すると見込んでいる。カナダの搾油能力に対しては89%という高い稼働率になる。輸出については引き続き1,100万トン超の水準を維持する予想となっている。仕向け先の内訳は表-2の通りだが、米中貿易戦争の影響から米国産大豆を中国がどの程度輸入するか現状で予測できず、その結果、カナダ産ナタネの中国での需要も予測が難しい。そのため、あくまでこれまでのベースで推定した数字として中国向けを474万トンと見積もったとしている。また、EU向けの輸出は前年から19万トン減の23万トンと予想しているが、今期のEUのナタネ生産は前年を下回ることが予想されており、BDF用途の動向によるが、EU向けの数字が上方修正される可能性もあるという。
 2018/19年度の期末在庫は364万トン、在庫率18%という数字が予備協議時点では示されたが、米中貿易戦争の影響や欧州の減産などの影響が今後出てくる可能性はあり、今の段階では決して楽観できる数字ではない。