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東京油問屋市場・館野洋一郎理事長が就任会見
伝統を引き継ぎ、新しい時代を先取りする気持ちで

 東京油問屋市場は8月22日、東京・日本橋蛎殻町の油商会館において、6月19日に開催された定時総会で第31代理事長に就任した館野洋一郎氏(タテノコーポレーション社長)の就任会見を行った。
 館野理事長はまず「この市場の創立が1901年、明治34年。私の曽祖父の代から油脂の販売を通していかに世の中に貢献していけるか、生活必需品だけに適正な価格で安定的に供給することを使命として、油問屋の仲間と一緒にしてきている。それ以外にもユーザーや消費者、メーカーと協調しながらこれまで百十数年築き上げてきた歴史だと思っている。この市場の中では若輩な方だが、しっかりとこれまでの伝統を引き継ぐことと、新しい時代をキャッチアップというよりも先取りするぐらいの気持ちで、油脂、食用油が今後どうあるのか、もすくは問屋の機能が今後どうあるべきかを先輩方の話を聞きながら、同世代の若い皆さんの力を集めながら、世の中に貢献できるような活動をしていきたい」と抱負を述べた。
 副理事長には引き続き金田雅律氏(マスキチ)、島田豪氏(島商)が再任され、「(全国油脂販売業者連合会の)油脂未来セミナーの第1回を今年6月に行ったところだが、その実行委員長を私が務めており、全油販連との連携を強化する」観点から29代理事長を務め現在は全油販連の会長の宇田川公喜氏(宇田川商店)も副理事長として再登板し、館野理事長をバックアップする。企画委員会では色々な伝統行事や新しい時代に向けた勉強会などの取り組みを強化し、建値IT委員会では、建値立会いに加えて、商流や油脂の価値についての見出し方にも変化が見られる中で、商品の届け方や双方向の情報発信のあり方などIT関係の可能性を今まで以上に模索していく方針を示している。
 館野理事長は昭和44年8月31日、東京生まれの49歳。平成6年東京大学法学部を卒業し、同年4月に農水省に入省、平成24年12月末に農水省を退職し、翌25年にタテノコーポレーション専務、26年に同社社長に就任し、同年より東京油問屋市場の副理事長を2期務めた。「この業界に入って丸5年が経ったところということもあって、なおさら色々な方の話に謙虚に耳を傾けて勉強していきたい気持ちもあるし、同時にこの業界とは別のところにいた経験もある意味、これまで常識と思っていたことを常識と思わないで、別の角度から先走らない範囲内で考えていくことによっても貢献していきたい」と語った。
 会見に同席した金田康男前理事長(カネダ)は「若い世代の館野氏に理事長をバトンタッチできて良かった。私どもも賛助会員もお客様にしても世代交代してきている。同じ世代の人が一緒にやっていかないと本当の意味で良くなっていかないと思うので、その意味で非常に適切な方が理事長になり、東京油問屋市場も考え方が気持ち的に若返っていく」と期待を寄せた。
 館野理事長の趣味は、元々はテニスだが、業界に入ってからはゴルフが増えているという。クラシック、ジャズ、ロック、ポップスを問わずコンサートやライブに足を運ぶことも多いそうだ。油脂、問屋、食品という従来のスキームだけにとらわれず、視野を広げて「ユーザーの先にいる消費者に喜ばれるような提案を広げたい」という。