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日清オイリオ名古屋工場でエネルギーネットワーク運用開始

 日清オイリオグループは1月24日、名古屋市港区の同社名古屋工場で「エネルギーネットワーク運用開始式典~ESG経営の新たな取り組みとして~」を開催した。
 日清オイリオグループ(以下、日清オイリオ)とJFEエンジニアリング(以下、JFEエンジ)は2017年10月、日清オイリオの生産拠点全体のエネルギー調達から供給までの最適化を実施することで基本合意しており、日清オイリオの横浜磯子工場、名古屋工場に、JFEエンジがコージェネレーションシステムを設置し、オンサイトエネルギーサービスを提供、JFEエンジは、そのサービスで得られる電力と、自社の保有電源や送電ネットワークを駆使し、日清オイリオの他拠点(堺事業場、水島工場)へも電力を融通することにより、日清オイリオの生産拠点全体の電力を安定的に確保するとしていた。
 名古屋工場のコージェネレーションシステムは、昨年2月の着工から11月に完工し、12月より運用を開始している。運開式典で日清オイリオグループの久野貴久社長は「本取り組みは当社の全国4カ所の生産拠点、将来的には子会社も含めた生産工場全体をネットワークで結び、JFEエンジが持つエネルギーソリューションを活用した電力事業をタイアップし、オンサイトコージェネレーションの構築および包括的エネルギー調達を実現するものである。この名古屋工場と来年完成予定の横浜磯子工場での発電機能を駆使して、全国の生産拠点の電力をまかない、いわゆる電力融通を確立する。昨年12月より本格運転を開始し、順調に稼働している。すでに名古屋工場で使用する電気、蒸気に100%活用されている。また、大阪の堺工場、岡山の水島工場において、自工場で消費する電力、天然ガスの調達についてもJFEエンジニアリングとの包括的な調達形態に移行している。また、今回、この名古屋では、ガス供給者である中部電力において新名古屋発電所から当工場までの2kmを超えるパイプラインの敷設工事が完成し、始めて天然ガスの導入が実現したことも大きな変化である。従来の重油を燃料としたエネルギー供給から、よりクリーンでCO2負荷の低いLNGの活用で低炭素社会実現への貢献ができることは、当社として大きなメリットである。今回、最新鋭のコージェネレーション設備及び貫流ボイラを導入した。ガスタービンについてはトップメーカーである川崎重工業、貫流ボイラ等では専門メーカーである三浦工業にも協力を得て、高品質かつ高効率な設備導入が実現した。長期にわたる安定したエネルギー調達を可能にし、またBCP等事業継続性を確保する上でも必ずや寄与するものと思う」と語った。

 わが国では、昨年7月に第5次エネルギー基本計画が発表され、その中で2030年に向けたエネルギーシステム改革の推進が掲げられ、自律分散型ネットワークシステムの推進や熱電一体型のコージェネレーションについても触れられている。久野社長は「まさにこのエネルギーネットワークの運用は、その目的に適うものと考える。2020年より本格実施される地球温暖化対策の国際目標、パリ協定は、昨年12月ポーランドで開催されたCOP24で、すべての国が共通ルールの下に削減する運用ルールが採択された。パリ協定を受けた日本の産業部門での目標値が基準となるが、本エネルギーネットワークの運用を計画通り開始することで、CO2原単位は大幅に改善され、省エネルギー活動の継続と合わせて、目標値達成に近づくことが期待されている。当社は明治40年創業以来、111年にわたり植物油の生産販売を行ってきた。油脂事業は人々の生活に密接に関連し、人々の健康を考え豊かにする事業である。幅広くかつ継続的な食生活を支えている。そして、今日的にはESG経営ということになろうかと思うが、企業としての利益の追求とともに社会的使命、社会的課題解決を果たしていく。その中にあって、エネルギーの効率利用、環境負荷の低減はとても重要なテーマであり、着実な取り組み、説得力のある施策実行を目指している」とその意義を述べた。