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ADEKAが2020年3月期決算について報告

ADEKAは7月17日、自社HP上で2020年3月期決算説明会の動画配信を開始した。
 城詰秀尊社長は、まず初めに2020年3月期決算の遅延について、海外拠点があるインド等において、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止のため、外出禁止令や都市封鎖の延長がなされたことの影響だと説明した。
 2019年度の連結業績については、売上高3,041億円、営業利益225億円、経常利益219億円、親会社株主に帰属する当期純利益152億円と、増収ながらも減益という結果になった。セグメント別に見た食品事業においては、マーガリンやショートニング類の汎用製品は低調に推移した一方で、マーガリンの中でも食品ロス削減やおいしさの向上を目指した機能的な製品や、ホイップクリームは好調であった。海外では、特に中国、東南アジアにおいて、マーガリン、ショートニング類、フラワーペーストなど全体的に堅調に推移。こうした要因から、売上高に関しては710億円と前年比99%で若干の減収、営業利益に関しては15億円と前年比124.9%で増益となった。
COVID-19の影響については、「国内外の生産・販売拠点は概ね従来通り操業できており、業務への支障は最小限であった。第4四半期の終盤に、自動車、住宅、化粧品など一部製品の需要減少や、インバウンドの減少等による食品関係への影響はあったものの、パソコンやデータセンター向けの需要は回復基調にあったという相殺要因もあった。最もCOVID-19の影響が大きかった中国拠点に関しても、12月決算だったことも含め、2019年度の事業活動・業績に与える影響は軽微であった」と報告した。
 2020年度の市場環境見通しについては、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の成長鈍化、日韓輸出問題の継続、世界的な環境規制の変化、気候変動・天候不順、原油・資源価格の変動など複数の要因が織り交ざり、世界経済は後退局面入りし、経済の減速が長期化する可能性があることを指摘。食品に関しては、「インバウンド需要が大きく減少している中で、食品ロスへの対応や労働力低減への寄与に加え、その上でのおいしさというところをキーワードにして、機能的な食用油脂を前面に推し出して拡販に努めていく」と述べた。