●本書「はしがき」より(抜粋)
腐敗は直接病気を起こすようなことがほとんどないためか、食糧難で、低温保蔵法も普及していなかった戦後の一時期を除けば研究者の関心は低くその数も少ない。食品微生物に関する出版物を概観しても、発酵食品や食中毒関係の微生物に関しては大部の成書がいくつも刊行されているのに対し、腐敗微生物に関しては最近のものはほとんど見当たらない。しかし腐敗は多くの食品では必ず起こる問題であり、食糧の廃棄や顧客からの苦情の原因ともなるため、食品メーカーでは日常的にその対策に苦慮しているところである。また、消費期限設定の関係でも重要課題の1つであることに相違ない。
本書は、そのような状況を踏まえ、とくに腐敗とその制御に関する最新の研究成果を整理・集大成した成書が必要であると考え上梓するものである。
●本書の構成
第1章 食品と微生物-食品と微生物の関わり/発酵、腐敗、食中毒の違い/腐敗微生物/腐敗による食品の変化/腐敗の判定/食中毒微生物
第2章 食品における微生物の挙動―魚介類とその加工品/食肉と食肉製品/卵と卵加工品/乳および乳製品/穀類・豆類とその加工品/野菜・果実とその加工品/菓子・調理パン/弁当・惣菜、生めん類/マヨネーズ・ドレッシング/香辛料/清涼飲料水/酒類/醤油・味噌/漬物類/レトルト食品・缶詰
第3章 食品の保蔵法-食品保蔵の考え方/低温による食品保蔵/包装による食品保蔵/加熱殺菌による食品保蔵/食品添加物による食品保蔵/その他の方法による食品保蔵
第4章 食品の微生物学的衛生・品質管理(HACCPおよびISO22000を中心に解説)
食品の腐敗と微生物
編著者
藤井建夫 東京家政大学 生活科学研究所 所長
体裁・価格
B5 220頁 定価3675円(本体3500円+税)送料340円