• 企業

日清オイリオの3月期は増収減益
油脂・油糧事業での安定した収益確保を目指す

日清オイリオグループは5月16日、本社会議室において2012年3月期の決算説明記者会見を開催した。今村隆郎社長はまず2013年3月期の業績について「連結の売上高は3,126億2,800万円、営業利益は59億円、経常利益は53億9,500万円、当期純利益は38億3,300万円となった。売上高は前年同期を上回ったものの、営業利益、経常利益は昨年を下回る結果となった。穀物相場の高値圏の推移、国内における東日本大震災の影響による需要の低迷、依然として続いている低価格指向、海外市場では中国における価格統制、マレーシアではパーム油相場の影響等々から、個別の業績では昨年を上回ったものの、連結では増収、当期純利益以外では減益という結果なった」ことを報告した。
 昨年スタートしたGROWTH10フェーズ・の今後の展開については「新たな価値を創造し続ける国際的な企業グループへ飛躍するため、2013年度までのフェーズ・3年間で、事業構造を大きく変革させて行く必要がある。油脂・油糧事業は厳しい環境変化の中でも、安定した収益を獲得し続けていく。加工油脂事業は、油脂・油糧事業に匹敵するレベルへの到達、成長事業では、新たなビジネスモデルの確立を目指して行く」とし、「2016年までのGROWTH10で当初の構想通り、当社グループを成長させて行くには、このフェーズ・の期間における取り組みが非常に重要になってくる。2012年は事業構造の変革を具体的に実行に移す年と考えている」という。
各事業の戦略について、「油脂・油糧事業は、環境変化の中でも安定した収益を獲得し続けていくことが求められている。当社グループの主柱である油脂・油糧事業が安定的な収益を挙げてこそ、次の成長がある。その実現のため、販売面では適正価格の販売、提案型販売の実施、各方面での取引先との取り組み強化の継続、商品面では顧客視点に立ったマーケットニーズの多様化に対応した商品を、技術に裏付けた商品開発力とマーケティング力を駆使して市場に定着させて行く」との方針を打ち出している。そして「こういう視点を中心に各生産物流拠点のあり方を見直し、再構築を図ることで安定的な収益を確保して行く」としている。
 加工油脂事業については、「油脂・油糧事業に次ぐ第二の収益事業を目指し、さらに経営資源を重点的に配分し、スピード感をもって事業を拡大して行く。現在の生産拠点はマレーシアのISF社が中心になっているが、アジアをターゲットとした生産拠点の多様化、規模の拡大にも取り組んで行く。販売エリアについても、さらに成長するアジアへの拡大、また技術に裏付けられた高機能商品の開発、さらに大東カカオ、T&Cなどグループ内企業、また提携企業との取り組みを強化し、さらなる事業規模拡大をグループ全体で目指して行く」と語った。