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花王と味の素が健康ソリューションで事業提携
花王の健康情報サービス事業に味の素が出資

花王と味の素が5月29日、帝国ホテルにおいて記者会見を開き、健康ソリューションビ ネスにおける事業提携について発表した。花王が2008年に100%(2億7,000 万円出資) 取得したヘルスケア・コミッティ-(HCC)社の株式を味の素が33.6%譲り受け、共同事業として新たにスタートするもの。HCC社は、健康保健組合等に対して、健康情報の提供、保健指導、解析・コンサルティング、また生活改善プログラムなどのサービスを提供する会社で、健康保健組合48法人、共済組合4法人、国民健康保健2法人、その他2法人と契約を結んでおり、加入者の総数は130万人になる。HCC社は提供するサービスをQUPIO(クピオ)と名付け、予防医学ポータルとして、健保組合を通して情報提供や保健指導を行っている。
 また、同社には加入者130万人の健診結果データベースが蓄積されており、この情報をベースに個別の保健指導も行っている。花王ではHCC社のこれまでのBtoB(組合向け)からBtoC(個人向け)に事業を拡大する方針であり、その中で味の素が持つアミノインデックス技術、健康に特化した食メニューコンテンツの開発技術が必要と判断したもの。味の素は、昨年開始したアミノインデックス技術(体内のアミノ酸の変化を見ることでガン診断などを行う技術)利用者の拡大を図ることができ、また生活改善カウンセリングのノウハウを蓄積することで、健康・食品事業を強化できるというメリットがある。
 現在の130万人を将来は500万人まで拡大する計画をもっており、健康保健組合以外に地域のドラッグストアなどと提携による生活者とのコミュニケーションも視野に入れている。
 個人向けサービスによる個人への課金は年間数百円に抑える方針で、今回の事業は「あくまで情報サービスの一貫として捉えている」(花王の尾崎元規社長)という。また、健康食品事業での花王との提携について、伊藤雅俊味の素社長は「当面はこの事業に集中して行きたい。それ以外のことは今のところ考えていない」