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不二製油が外食市場での拡販めざす

 不二製油は10月12日、東京・港区のホテルグランパシフィックLE DAIBAで「2012年不二製油外食市場向け製品説明会」を開催した。外食関係者など約150名を集め、試食を交えながらプレゼンテーションを行った。
 同社は、2011~13年中期経営計画において、外食市場を今後注力していく市場に位置づけている。その具体的施策として今春より外食市場攻略のための専門部隊を設置し、ファストフードやファミリーレストラン、カフェ、居酒屋等のチェーンや、それら外食産業に商品を供給する加工食品メーカーへの拡販に注力している。これらの市場に向けて、従来販売してきたパーム調合油やクリーム技術を応用したドリンク類、豆乳・豆乳加工製品などに加えて、乳化発酵技術を発展させたチーズ素材なども新たに発売した。

 同説明会の冒頭挨拶を行った海老原善隆社長は「不二製油は1950年の創立以来、植物性油脂と大豆たん白を事業の2本柱としてきた。その企業理念は、食の中間素材でニッチ、スペシャル、グローバルであり、海外にも早くから進出し現在9カ国19社で展開している。技術経営を基本方針とし、これまで油脂の溶剤分別や酵素エステル交換技術、分離大豆たん白の抽出やペプチド、多糖類の分画など多くの新しい基本技術を生み出してきた。当社が常に新素材を開発してくることができたのは、この継続的な技術の創出があったからだといえる。当社の特許出願件数は、食品産業においてこの10年間に1位も何度かあるが、毎年常にベスト5を占めている」と述べ、技術に立脚した不二製油の素材開発力を強調した。一方、「65歳以上の高齢者が3,000万人を超える日本の国内市場だが、家庭の食料支出は2001年を100とすると2011年は91.9と顕著な減少傾向が見られる。高齢化と単身世帯の増加とともに消費の内容も変化し、外食・調理食品・加工食品の合計が全体の6割を超えてきている。しかし、その外食も1998年にピークアウトを迎えた。内食から外食、そして中食への支出になっている。当社はその食の活性化のお役に立ちたいということで、今回、外食市場向け製品説明会を企画した。テーマは『新しいおいしさの創出』と『ご提案』である」と説明会開催の狙いを説明した。


 同社の製品開発の方針は、1)環境にやさしい、2)安心・安全、3)健康でおいしい、の3つ。特に、今回の説明会では、新しいおいしさの創出をテーマに挙げているように、従来市場になかった新しい機能とおいしさを兼ね備えた製品を試食を交えて提案した。
 チーズ素材では、独自の乳化発酵技術に加えて、冷めてもソフト、透明化を防止、機械耐性、耐熱保形性、やわらかソース状といったナチュラルチーズにはない機能性を持たせた「ゴーダブロック」「とろけるフロマージュN」「カマンベールソース」「ゴルゴンゾーラソース」を紹介した。
 ホワイトソースでは、独自のダブルローストによるルウ製造技術を駆使することにより様々なコク味やロースト感を実現できる。冷たい状態でもなめらかな食感を保ち、流水解凍ができる「冷凍ホワイトソースRK」を使った“うどんの冷製カルボナーラ仕立て”を紹介した。
 また、油脂製品では、脱色や脱臭による精製という引き算による食用油製造と異なり、ナノ技術を応用して油脂に溶解しない物質を利用することで新たな機能を付与する独自の「DTR製法」を用いて、呈味の増強、コク味の付与、高い安定性、油性感の低減といった新しい機能を備えた油脂を開発している。その中で、今回の説明会では特に、呈味増強油脂を紹介した。ワサビやからしの辛味や塩味の増強効果がある。塩分を低減しても塩味を強く感じられることから、ラーメンスープなどに利用することで、塩分低減に繋がる可能性もある。