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月島食品工業が2013パン・焼き菓子講習会を開催
デイジイ・倉田氏が「リテールにしかできないパン作り」を紹介

 月島食品工業は3月12日、東京・西葛西の日本パン技術研究所において「2013パン・焼き菓子講習会」を開催した。今年も昨年に続いて、埼玉県の人気店「デイジイ」を展開する倉田博和氏を講師に迎え、「リテールにしかできないパン作り」を紹介した。リテールベーカリー関係者など約80名が参加した。
 講習会の冒頭、月島食品工業の吉原力執行役員営業副本部長は「昨日、東日本大震災から丸2年が経った。各地で追悼式等が行われたが、肝心な復興はなかなか進んでいない。義援金や励ましの気持ち、応援などが多く寄せられても、時間がかかるもので、1日も早い復興を願っている。私たちにできることは、それぞれの商売が元気であることが復興の一助になると信じている。今日の講習会が震災復興の応援講習となる気持ちで開催したい」と挨拶した。
 市況については「消費低迷、低価格志向、デフレ傾向と経営環境にとって大変厳しいものがある。経済状況は政権交代でデフレ脱却、円高修正などが打ち出され、株価も値上がりし明るい兆しが見えてきた。しかし一方で、円安は輸入価格のアップ、原油が上がって電気料が上がる、包材やフィルムが上がることを覚悟しなければならない。小麦粉も麦価改定で4月に10%以上が上がり、小麦粉価格の改定は6月くらいになるのではないか。油脂原料については、海外の穀物相場や為替の様子を見ているところだが、もしかしたらという時にはご理解頂きたいと思っている」と語った。また、講習会については「倉田博和先生は、国内のみならず海外にも毎月、技術指導に行かれる超多忙な先生だ。原材料アップの対処法、売り上げアップのノウハウ、おいしいパンの作り方の奥の奥の技術など、先生の知識、知恵、技術をたくさん吸収して頂ければ幸いである」と述べた。

 月島食品は、マーガリンでは実現することが難しかった“まるでバターのような”物性と風味、食感の「ラブールガトーシートV」を2011年12月より展開している。また、フィリングにおいては今春より、プレミアムシュガーを加えて炊き上げ“プリンの様なみずみずしさ”とスッキリとした甘みとコクが特長の「ぷる~りカスタード」と、今までありそうでなかった“冷めてもなめらか”でおいしく食べられる「とろっとリーズソース」を新発売した。講習会では、これらを中心に、月島食品グループのパン・菓子素材を活用したパン・焼き菓子メニューを倉田氏が実演、紹介した。
 倉田氏は自身の店舗でも「ラブールガトーシートV」を愛用しており、「色んな有名なベーカリーさんを集めて、バター、ラブールガトーを食べ比べたが、誰も違いがわからなかった。どれがバターなのか、コンパウンドなのか純植なのか、わからない。おいしいマーガリンです」と強調した。クロワッサンやジャポネスク、ベーカーズロール、プレウフ、各種パイなど、バターに代えて「ラブールガトーシートV」を使ったおいしいレシピを実演を交えながら次々と紹介した。倉田氏のデイジイでは、パンだけでなく焼き菓子の販売量も多い。「焼き菓子はベーカリーに必要なラインアップだと思いますよ。フィナンシェもマーガリン1本(100%)で作ってる。すごくおいしい。フランボワーズと油脂と砂糖の甘みがすごくおいしい」という。
 「ぷる~りカスタード」については、クロシェットやコロネなどで「ぷるっとした食感と、黍砂糖のおいしさが入るので、お店の独自性を出せると思う」と語った。

 また、月島食品がリテールベーカリー限定で展開している家庭用マーガリン「パン屋さんのおいしいマーガリン」については、「ウチの店ではジュースのケースに入れて置いている。売れるんですよね」と、サブアイテムとして好調な商品との認識を示した。