• 企業

不二製油、2年ぶりに増益に転換

 不二製油は5月14日、東京・港区の浜松町東京會舘において「2013年3月期決算説明会」を開催した。
 連結業績は売上高2,321億6,100万円(前年比1.9%減)と減収となるも、営業利益141億4,700万円(同9.0%増)、経常利益138億4,700万円(同6.4%)、当期純利益83億3,600万円(同0.6%増)の増益となった。清水洋史社長は、「売上高は2,322億円で前年比44億円減だが、昨年5月の期初予想に比べると163億円減、7%落とした。営業利益は逆に141億円で12億円増だが、期初予想から14億円減、9%落ちた。したがって、前年よりは良かったが、予想より少し落ちた最終結果になった。円安等から売上高は2,300億円近辺でここ数年変化していないが、営業利益は2009年度の180億円を頭に、過去2年連続で減少した。しかし、13年3月期は逆に増え、底を打った。本格的に海外の利益が増えるのは下期から来年以降と考えているが、141億円の営業利益の中で単体の営業利益は113億円で過去最高になった」と総括した。
 セグメント別では、油脂部門は国内外ともに主要原料価格の下落により減収となり、カカオバターの相場下落の影響からチョコレート用油脂も苦戦し、減収・減益。大豆たん白部門は大豆価格高騰の影響を受け採算が悪化したことなどから増収・減益となった。ただ、SPI(粉末大豆たん白)が苦戦したものの、粒状大豆たん白や、ノンアルコールビール向けのペプチドといった大豆たん白機能剤は好調だった。一方、製菓・製パン部門は、国内外とも業務用チョコレート・マーガリンなどが好調に推移し、増収・増益となった。

 2013年度は、特に海外事業の強化、国内事業の維持・拡大、新規事業への挑戦を具体的な方針として取り組んでいく。海外事業では、まずCBE事業の強化が課題のひとつ。清水社長は「ココアバターの相場は08、09年に7,000ドルまで達したのが、一時2,000ドルまで下がり、CBEは非常に競争力を失ったが、ここへきてやっと5,000ドルくらいの相場になってきており、将来の利益を支えることは間違いない。酵素エステル交換技術に加えて、シアナットを使ったCBEも積極的に展開したい」と意欲を示した。同社の欧州子会社フジオイルヨーロッパを通じてガーナのIOF社に資本参加しており、「ここでシアナット、ワイルドファットを使ったCBEの原料を作れることが強みになる。12年度を底にして、CBE事業は利益も数量も上昇していく」と期待を込めた。
 また、アジアにおける製菓・製パン事業の拡大では、東南アジア開発センターを設立して、現地ニーズを捉えた製品開発を強化するとともに、販売統括会社としてフジオイルアジアを中心にアジア戦略を推進している。
 国内事業では、外食や製パン市場での拡販を図るため、マーケティング機能や人員体制の強化を進めるとともに、「コストが上がる中で、値上げへの戦略も細かく練りながら、適正な販売価格に改定していくことが国内事業の大きなテーマ」と清水社長。
 新規事業の挑戦では「大豆ルネサンス、USS技術を確立し、少し時間をかけてでも、この新規事業については、柱になるまでやりきるつもりで進める」との考えを示した。USS技術による低脂肪豆乳、豆乳クリームの規模は、初年度1,500トンとしているが、いずれもすでに完売状態となっており、「早急に次の設備(増強)にかかっている。2系列化にすると3,000トンになるが、それでも足りないと思うので、どんどん大きくしていく計画だ」という。