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かどや製油が中間決算説明会を開催  
増収減益となるも輸出用は伸長

 かどや製油は10月31日、東京・中央区のベルサール八重洲で2014年3月期第2四半期決算説明会を開催した。
 中間期の業績は、売上高112億4,300万円(前年比2.4%増)、営業利益11億2,300万円(同12.5%減)、経常利益12億8,900万円(同1.2%減)、四半期純利益7億6,800万円(同11.9%減)の増収減益となった。
 今期は円安と原料価格の高騰を受けて、ゴマ油業界にとって価格改定が最大の課題となっている。搾油用原料ゴマの価格は、需給バランスの崩れから、春先に一時2,000ドル/トンを超え、6月の東アフリカ産の収穫期を迎えても1,800~1,900ドル前後で高止まりを続けた。足もとは再び2,000ドルを超える動きも見られている。
 ゴマ油の販売については、円安と原料価格の高騰によるコスト増をカバーすべく、価格改定に取り組んでいる。家庭用では5月より拡売条件費を圧縮し、実質値上げに取り組んだ結果、販売数量は前年比10.6%減、販売価格で4%減となった。家庭用の競争は激しく、NBに対して割安なPBの構成比が増加したこと等も影響した。
 小澤社長は「家庭用は、当社の200gは店頭で348円中心だが、他社の200g、180gは100円程度安く、独歩高の中で苦戦をしている。数量は減少しているが、下期に入って10月からも値上げを実施している。残念ながら大手量販店の抵抗があり、その影響で他の量販店も同調しており苦戦を強いられている」と直近の状況を振り返ったが、店頭販売単価の適正化に引き続き注力し、他商品とのコラボ企画や日替わりチラシ、月間企画による購買促進強化で下期に臨む考えを示した。
 業務用ゴマ油は、新規取引先の獲得もあり販売数量が2.1%増加し、販売価格も3.2%増となった。家庭用同様に5月から値上げを実施したが、「色々な材料を使われるので、円安や原料高騰で苦しい環境に理解を得られており、それなりに価格変更をさせて頂いている。下期に再度交渉しているが、時期に差はあるが少し引き上げることができると確信している」と、値上げにある程度理解を得られる見通しだ。下期は10月からの価格改定とともに、大口需要家との新規取引の強化や惣菜、デザート市場の開拓を目指す。
 一方、輸出用ゴマ油は販売数量が13.5%増、販売価格は25.9%増と好調だ。「価格修正はスムーズに受け入れてもらえている。数量的に影響が出ることを心配したが、逆に数量は伸び、順調に推移している。下期ももう一度修正をお願いしているが、今のところ10、11、12月の注文は順調に入ってきているので、そう大きな狂いはないのではないか」との見方を示した。今期第2四半期までの輸出用ゴマ油の販売数量は前年比14%増の約2,310トンとなっている。販売金額は昨年通年で20億6,400万円に対し、35%程度の増加が見込まれる。

 食品ゴマについては上期の販売数量は前年比8.9%増、販売価格は同1.2%増だった。家庭用は重点拡販製品に位置づけ、極力スーパーの店頭化に取り組んでいるが、NB・PBとも競争が激しい中、上期は金額・数量とも微減となった。下期は10月より値上げを行うとともに、店頭販促企画やメニュー提案リーフレット配布を強化して購買力の向上を図る。また、需要期に主要取引先での販促チラシ企画を提案し拡販を目指す。一方、業務用は6月より値上げを実施し、外食向け小袋の新規獲得による数量増や使用量の増加から販売数量・金額ともに増加した。大口顧客の新規獲得も順調に推移した。「地道な努力をしてきており、ねりゴマ等で新しい顧客に新しい商品を提案して数量が非常に大きく伸びている」という。下期は外食向けに粗挽きねりゴマやねりゴマ濃煎り等を重点商品に位置づけ、拡販キャンペーンを行う。加工メーカーや米菓市場の開拓、特に採算性の良いねりゴマ製品のラインナップを強化して市場拡大に取り組む考えだ。

 2013年上期の新商品・リニューアル商品では、6月より「金印/銀印純正ごま油600g」を発売した。業務用商品を小容量化したもので、手に取りやすい価格帯で業務用C&C等の販売チャネルを活用して、料理人から一般消費者まで、より身近にゴマ油の利用を促進する狙いだ。また、「金印純正ごま油(PET)400g」を7月より発売した。PET容器の利点である“軽い”、“割れにくい”をより実感できる家庭用の商品だ。食品ゴマでは、「ねりごま(白・黒・白深煎り)」をリニューアル発売し、8月よりPET100g容器の初回生産を開始している。
 また、第3の柱へと育成している「かどやのごまセサミン」や「黒ごま&オリゴ」といった通販限定商品は、徐々に販売実績を上げている。「定期購入者も毎月増えており、もう一段の努力で採算に乗るところまできている」と小澤社長。

 なお2014年3月期の業績見通しは、売上高226億円(前年比5.4%増)、営業利益21億5,000万円(同5.6%減)、経常利益21億5,000万円(同15.3%減)、当期純利益12億5,000万円(同19.1%減)を予想している。売上高の約12億円増の内訳は、ゴマ油の家庭用が約3,000万円減、業務用が約4億2,000万円増、輸出用が約4億7,000万円増、食品ゴマ他で約3億円増を見込んでいる。また、家庭用ゴマ油の拡売条件費を約8億円抑制することから、家庭用ゴマ油の売り上げはNETで約7億7,000万円増、全体の売上高もNETで約20億円増相当となる。一方、原材料費は約26億円増を見込んでおり、コスト削減でカバーしても売上原価は約23億円増加すると予想している。