• 企業

不二製油が高齢期の食事に関するセミナーを開催

 不二製油は11月15日、東京・港区のグランドプリンスホテル高輪で「高齢期の食事に関するセミナー~2013年不二製油製品説明会~」を開催した。取引先関係者ら約160名が来場し注目を集める中、油脂と大豆たん白を組み合わせ、「おいしさ」「楽しさ」「簡便さ」をキーワードに同社の素材、製品ラインナップ、利用特性の説明と提案を行った。
 冒頭挨拶をおこなった清水洋史社長は「現在4人に1人近くが65歳以上という状況にあり、2050年頃には2.5人に1人になるだろうといわれている。2050年というと、日本の人口は9,000万人ぐらいになり、現在の1億3,000万人から3,000~4,000万人減っていく。ちょうど100年前のようになるのが2050年辺りである。したがって、われわれ食品業界としては、胃袋の数が減っていく上に高齢化が進み、掛け算で減っていく。その中で、どうやって生き延びていくかが(セミナーのテーマの)背景にある。それぐらい一般的な課題であって、特別なテーマを扱っているわけではない。不二製油の持っている力で、さらに進む高齢化社会に向けて何を提案できるかについて本日説明をさせて頂く。従来の高齢者のイメージとはまったく違う。そういう時代がきている。その時に良い食事、良い栄養とはどのようなものなのか。不二製油は植物油脂の技術の会社であるが、もう一方で大豆たん白をやっている。今回は特に、油脂とたん白の合わせ技で、色々なものを見て頂きたい」とセミナー開催の背景について語った。

 セミナーは2部構成で行われ、はじめに人間総合科学大学の熊谷修教授が「介護されたくないなら粗食はやめなさい~シニアを襲う新型栄養失調」と題して特別講演を行った。熊谷氏は。高齢者の栄養の問題を病気ではなく、老化をいかに遅らせるかに着目すべき」とした上で、「良質なたん白質とエネルギーを安定供給してくれる油脂をコンバインして食べることが重要で、このコンセプトが(高齢者食の)大きなキーワードになってくる」と語った。
 また、不二製油研究開発本部食品応用研究所長の日高博志執行役員が高齢者市場や高齢者のたん白質代謝、食生活状況の調査などについて説明した上で、高齢者に求められるおいしさについて「高齢者は加齢にともない味覚・嗅覚・噛む力が低下してくるため、うま味やコクの強化が必須である一方、生活体験が豊富で、食品毎の記憶や快感が残っていることから、この経験を途絶えさせないことが必要だ」とし、官能面や心理面においてもおいしいと感じてもらえるアプリケーションに取り組んでいることを紹介した。続いて同社研究開発本部の担当者により、USS製法による低脂肪豆乳と豆乳クリーム、発酵によるおいしさと機能性を付与したチーズ様素材、呈味増強油脂や高安定性油脂についての技術・製品説明も行われた。