不二製油が新中期経営計画「ルネサンス不二2016」始動
posted on : 2014.05.19
不二製油は5月13日、東京・港区の浜松町東京會舘において2014年3月期決算説明会を開催した。
連結業績は売上高2,530億400万円(前年比9.0%増)、営業利益152億4,100万円(同7.7%増)、経常利益147億9,800万円(同6.9%増)、当期純利益81億6,400万円(同2.1%減)となった。清水洋史社長は「売上高は過去最高だった。営業利益は前中計では当初220億円から180億円、160億円と修正をしてきたが、それも未達であるので、必ずしも良い実績ではないが、12年度から見ると回復している。油脂部門は国内が減少し海外が増えた。海外はチョコレート用油脂の欧米及び「東南アジアの販売数量増により増収だった。逆に国内は、ヤシ油・パーム油・調合油の販売数量が減少し、減収になった。製菓・製パン部門についても海外が思ったほど伸びず、国内が減った分をカバーするくらいだった。大豆たん白部門は、国内が12年度12億円あった営業利益が4億円しかなく、海外も1億円減で大きな減益となった。地域別では日本は前年から減少し、海外が増え、海外営業利益比率は前年の16%から29%に上がった」と総括した。
今年度からスタートした3カ年の新中期経営計画「ルネサンス不二 2016」では、前中計の基本方針であったグローバル経営の推進、技術経営の推進、サステナブル経営の推進を踏襲し、加速していく。清水社長は「3本柱は変えていない。方針が悪いから(前中計で)利益目標が未達だったわけではなく、戦略的に足りなかった。日本の人口が減り高齢化して行く中で、海外に伸びていかなければならないのがグローバル経営。その方策は何かと言えば、技術力が優れているのが不二製油の競争優位の原理。サステナブルな考え方がなくては、会社はなかなかもたない。特に人や社会に対する価値の作り方が基本になるので、今回もこの3本柱を踏襲し、加速していく」と強調した。
新中計初年度の2014年度の連結業績予想は売上高2,827億円(前年比12.4%増)、営業利益150億円(同1.6%減)、経常利益146億円(同1.3%減)、当期純利益90億円(同10.2%増)となっている。売上高は過去最高の更新を目指すが、利益は伸び悩むと見ている。営業利益増減要因として清水社長は「拡販要因とコストダウンで41億円増を見込むが、原価上昇が41億円あり相殺してしまう。海外事業為替要因の5億円増を見込んでも、7億円の販管費増から、営業利益全体では2億円減」を想定している。
新中計「ルネサンス不二 2016」は、その先の2030年に売上高5,000億円、営業利益率10%とする数値目標を含めた“ありたい姿 2030”と、同3,500億円、8%の“あるべき姿 2020”を見据えた上で、2016年度の計画値として売上高3,000億円、営業利益190億円、営業利益率6.3%、ROE8.0%、海外営業利益比率35%を掲げている。清水社長はこの3カ年を「もう日本の不二という考えではなく、世界の中のひとつが日本という感じに変わっていく、グローバル経営体制を確立する3年」と位置づけている。「グローバル本社を持ち、現在のフジオイルアジア、これから作ろうとしているフジオイルチャイナ、日本もフジオイルジャパンとして並列化を考えていく。それが成り立つためには、エリア管理の強化と権限移譲が欠かせない。そのベースになるのはグローバル人材の育成である」と、グローバル経営の推進・加速への考え方を示した。
また、同社のコア戦略はあくまでも技術経営にある。「例えば、アジアの開発センターを強化する。国内の新研究所構想も検討している。また、新規事業の創出としてUSS事業のグローバル化を行っていく」と清水社長。「シンガポールに現在のアジア開発研究センターがあるが、これをもっと充実したい。どの土地で何をするかまで計画は進めつつある。技術的な試作、お客様の要望を合わせた提案営業をできる現地での技術開発をすべきと考えている。各地にあるフジサニープラザ以上に本格的な施設を作るというのが東南アジアの開発センターの考え方」という。
また、独自の大豆の分離・分画技術を活用したUSS事業については「2013年度の実績は低脂肪豆乳が300トン、豆乳クリームが230トン。2014年度の予算は、低脂肪豆乳が13年度比430%、豆乳クリームが同370%、合計405%を計画。中計最終年度の2016年度は低脂肪豆乳1,700%、豆乳クリーム1,000%。新規市場を増やした時には、それ以上に増えていくことになる。この秋から来年にかけて(既存の国内設備の)増設をしていく予定だが、その次の増設はどこが良いのか考えないといけない。チルド商品なので需要地に近い場所が良いという条件はある。一方、乳業メーカーはもっと規模が大きいので、豆乳クリームに相当する全脂粉乳、低脂肪豆乳に当たる脱脂粉乳のように粉乳にしてカバーしている。世界のUSSになるためには、そうしたことも考えなければならないかもしれないが、方法論はないわけではない」との見解を示した。