日清オイリオグループ吉田常務が営業概況を報告
posted on : 2014.10.08
日清オイリオグループは10月3日、同本社で「2014年歳暮期日清オイリオギフト発表会」を開催した。発表会の冒頭、吉田伸章常務が食用油の営業概況について報告した。
吉田常務は、はじめに大豆とナタネの原料環境について「今後については、上値は重く推移すると思っているが、ナタネ自体はカナダの減産、期末在庫低下の状況にあり、下値も限定的で、シカゴ大豆定期の低下が進む中、一方でナタネと大豆の相場トレンドに格差がついてしまう今までにない展開が予想される」との見解を示した上で、「食用油のコストを考えると必ずしも原料相場と一致したものではなく、追い風が吹いているとは言いがたい」と強調した。豚流行性下痢(PED)の影響からミール市場は激変しており、国内の配合・混合飼料の生産量が減少するという需要減に加え、中国から大量に安価な輸入大豆ミールが入っていることも、食用油のコストに大きな付加をかけている。「今後とも安全で安心な価値ある商品を安定的に供給していくためにも、コスト環境に理解を求めていく。また、していかなければ成り立たない」ことは間違いない。
家庭用食用油については4月からの消費税増税の影響もあり「3月単月で37.7%と記録的な駆け込み需要の数字が出ている。その反動で4月から5月前半は大幅に前年を下回った。5月後半から需要は戻ってきたが、4~8月累計は87.8%となった。しかし、7~8月は前年比100%で市場も安定してきた。駆け込み需要を挟んだ1~8月で捉えると物量98.8%、金額ではオリーブ油等の好調があり101.5%となっており、全体的に家庭用市場は堅調に推移している」と分析している。
同社の販売実績は、適正価格での販売による食用油の価値向上に努め、需要喚起の仕掛けによる市場活性化に取り組んだことから「市場トレンド同様の販売量を確保できた」という。特に、市場拡大が続くプレミアム油やオリーブ油に集中的にモノ・コト・売場づくりの3点セットの仕掛けを強化しており、900gシリーズの基幹商品である「日清ヘルシーベジオイル」は、昨年3倍近く拡大したが今春1,000gから900gへリニューアル後も上期は1.5倍と「無休成長を続けている」と自信を見せた。今春新発売した「日清やさしいキャノーラ油」900gも順調に販路を拡大しており、回転率も上昇傾向にあるという。 また、オリーブ油では今春発売した「BOSCO プレミアムエキストラバージンオリーブオイル」と「日清さらっと軽~いオリーブオイル」が好調で、オリーブ油市場全体の伸びを上回る販売を確保している。
下期も増加の続く単身者や少世帯に合わせた小容量サイズの「これこれ!小さいズ」シリーズを発売し、食用油市場の活性化を図るべく、ハレの日需要に向けてはオリーブ油をメインに相性の良いワインと共同提案することなど、新たな需要喚起に取り組む考えだ。「消費環境は今以上に厳しくなると予想されるが、適正価格での販売をベースに、フルラインの商品群で提案型の販売を推進し、食用油のリーディングカンパニーとして市場活性化をしていきたい」と力を込めた。
業務用については「日本フードサービス協会の市場動向によると、増税後の4~5月の売上高は前年同期比を上回った。6~8月の3カ月は大雨など天候要因の影響もあって若干下回った。ところが客数は7カ月連続で前年を割り込んだが、客単価は非常に好調で15カ月連続で前年を上回る数字を弾き出している。多少単価が高くても魅力的なメニューを揃えたり、フェア等の仕掛けによって新しい需要を喚起できているのではないか」との見方を示した。一方、中食は「量販店を中心とした惣菜の売上が増税後の4月以降も非常に好調で、天候要因による影響も少なかった」と見ている。
こうした中、同社の業務用食用油の販売は「販売量は前年を数ポイント上回る結果を上期は得たので、自信をもってやっていきたい。食用油のコストが大変厳しい中で、コストに見合った適正価格での販売を引き続き強力に推し進めていかなければならない」と気を引き締めて臨む考えだ。同社は業務用商品の品揃えとして、サラダ油や白絞油といったレギュラー油カテゴリーから、機能を重視した付加価値商品を強化している。「発売から1年経ったフライ油の酸価上昇を抑える画期的な商品『日清スーパーロングキャノーラ』は、明確に差別化された機能が評価され、今年度は大きく販売数量を伸ばした。4月には長持ち機能は同様に風味特長が異なる『日清スーパーロング大豆&キャノーラ』を発売した。ラインナップ強化を図って市場を活性化させていきたい」というように、機能性を備えた付加価値商品の拡大が市場成長に欠かせない。