不二製油第2四半期決算は増収、営業利益はほぼ横ばい
posted on : 2014.11.18
不二製油は11月11日、東京・港区の浜松町東京會舘において2014年度第2四半期決算説明会を開催した。連結業績は売上高1,281億1,500万円(前年比8.0%増)、営業利益64億2,100万円(同0.2%減)、経常利益64億300万円(同0.5%増)、四半期純利益46億8,400万円(同20.3%増)となった。
清水洋史社長は上期の業績について「売上高は増収、営業利益はほぼ横ばいだった。業績予想に対しては、売上高は未達だったが、営業利益は上回ることができた。油脂事業の営業利益はチョコレート用油脂CBEの販売堅調等により業績予想・前年実績ともに上回った。製菓・製パン素材事業と大豆たん白事業の営業利益は原料高の影響を受け、業績予想・前年実績を下回った」と総括した。
為替の円安により、上期の原料の円換算後の使用価格は前年に比べて「パーム油が25%、パーム核油は64%、大豆ミールは15%、乳製品は45%も上昇した。CBEの販売価格に大きく影響するココアバターの国際相場は76%上昇した」。ただ、下期については、円安が進行するものの「パーム核油は29%上昇するが、パーム油が2%下落、大豆ミールが5%下落、乳製品が11%下落する。一方、ココアバターの国際相場は40%上がる。原料価格が採算面に寄与するのは14年度終盤であり、下期も厳しい事業環境がしばらく続く」と想定している。
通期の業績予想は、売上高2,827億円(前年比11.7%増)、営業利益150億円(同1.6%減)、経常利益146億円(同1.3%減)、当期純利益90億円(同10.2%増)で、5月の発表を据え置いているが、営業利益の内訳については、油脂部門を7億円増とする一方、製菓・製パン部門を3億円減、大豆たん白部門を4億円減に修正した。
下期の各セグメントの取り組みについて、まず油脂部門については、国内はチョコレート用油脂の販売増を見込むが、ヤシミールの販売減やパーム調合製品の採算悪化の影響を受ける。海外では、欧米はチョコレート用油脂や健康訴求油脂が引き続き好調だが、アジアでのパーム系製品の採算が厳しい。「海外のCBEの販売価格はほぼ計画通りに進んでおり、ココアバター価格が依然高止まりしていることから、CBEの販売は下期も引き続き好調と考えている」という。
製菓・製パン部門については、国内は市場ニーズに合った機能性チョコレートの拡販や、中食・外食用のクリームの販売強化に取り組む。海外ではインドネシアの業務用チョコレート、東南アジアのクリーム、中国のマーガリン・ショートニング・フィリングの販売増加を見込む。一方、乳製品の調整品やココア調製品の減益が響きそうだ。「チョコレート、クリーム、マーガリン・ショートニングのアジアでの販売について、中国のチョコレートがやや伸び悩んでいるが、下期挽回に努めたい。中国のチョコレートを除く製菓3品の販売は前年を上回っており、計画達成を目指す。今後のさらなる成長に向け、特に、クリーム、マーガリン・ショートニングの生産能力増強が必要で、早急に検討する」考えだ。
大豆たん白部門については、国内は大豆たん白素材の採算改善と大豆たん白機能材・大豆たん白食品の拡販により増益を見込む。海外では、プロテインパウダーや育児粉乳用の大豆たん白など中国の健康訴求市場等での拡販に注力する。「構造的な問題を含んでおり、業績悪化が続いている。事業構造改革が早急に必要と考えており、粉末状大豆たん白事業と大豆加工食品事業の再構築として、生産拠点や生産ラインの再編、アライアンス戦略の探索・加速を行いたい」としている。一方、大豆ルネサンスを強力に推進しており、「まめプラスカフェ」など新しい取り組みを活用して、USS製品や大豆ミート製品等の採用頻度を上げていく。「すでに商品が足りなくなっており、ここも増設をしていきたい」という。
2014年度の設備投資の予定は120億円で、成長に向けた積極投資を行っている。上期には、単体では主に関東工場の業務用チョコレート生産設備の増設、グループ会社では米国の油脂精製能力の増強等を実施し、すでに42億円を計上している。下期については、単体ではUSS工場の生産能力の増強や、油脂精製再構築への投資、グループ会社では米国油脂精製能力増強を継続して行うとともに、中国油脂充填ラインの拡充やマレーシアでの新タイプの分別設備の増設、15年3月にシンガポールでのアジア研究開発センター設立などを予定している。