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日清オイリオグループ、加工油脂事業の収益力強化を加速

 日清オイリオグループは11月18日、同本社において2015年3月期中間決算説明会を開催した。
 今村隆郎社長は中間期の業績について「売上高は前年同期より2.6%減の1,582億1,600万円、営業利益は53.1%増の30億8,500万円、経常利益は50.0%増の31億6,000万円、四半期純利益は128.4%増の18億9,600万円となった。売上高の減少は、主に中国事業の再構築の一環として昨年度まで連結子会社であった旧大連日清製油(中糧日清(大連)有限公司)が中国のCOFCOグループとの提携により、持分法適用関連会社になったことにある。各利益については、油脂・油糧事業の増益、加工油脂事業の大幅な改善により前年同期を大きく上回った」と総括した。上期の営業利益が前年に比べて全体で10億7,000万円増加した中で、加工油脂事業は9億5,000万円増と大きく貢献した。
 今村社長は上期の油脂・油糧事業について「中糧日清(大連)が持分法適用関連会社になった影響により、売上高で約39億円の減少、営業利益で約3億円の改善となっている。国内の油脂事業は4月以降、消費増税の反動はあったが、7月以降順調に回復した。しかし、販売価格については、上げる局面において原料相場が下落し、価格交渉が難航し、想定していた収益が計上できなかった」と振り返った。

 上期に大幅な収益改善を果たした加工油脂事業の中期経営計画における目標は、国内市場での拡大やISFの増益、アジア戦略の推進により経常利益30億円を達成することにある。「国内加工油脂事業は、既存の取引先、新規取引先への積極的な提案により、上期も順調に売り上げ、利益とも伸ばしており、さらに拡大を目指す。大東カカオ、T&Cについてはアジア地区でのパートナー選定や、海外乳業メーカーとの連携等により、成長するアジア市場で新たな販売ボリュームの獲得、取引の拡大を目指す」という。また、ISF社については「上期の利益額は大きく改善した。これは一過性ではなく、ここ何年か取り組んできたISF社の構造改革の結果のあらわれと考えている。原料の調達、商品販売や管理の面において安定収益を計上するための改革を実施し、実を結んでいる」と述べた。
 今村社長は、中期経営計画の目標達成に向けて「油脂・油糧事業に次ぐ加工油脂事業が第2の柱となることが必須の条件となる。特に中心となるISF社の安定的な収益拡大が不可欠」と考えている。ISF社では、欧州の主要取引先向け販売の拡大や、安定供給に向けて販売・生産・開発が一体となった提案型サポート体制の構築を進めており、「次年度以降も成約数量は順調に推移している」という。また、顧客ニーズに対応した開発や提案の実施によるCBE等の高付加価値商品の拡販、原材料安定調達に向けたサプライヤーの開発も推進している。さらに、Nisshin Global Research Center(NGRC)との連携による商品戦略の強化と、新規顧客の獲得、そして成長するアジアでの油脂から製菓・製パン、チョコレートまで、バリューチェーンの優位性を発揮し、アジアでの加工油脂事業戦略をスピード感をもって進めていく考えだ。

 生産・物流コストダウンでは、2015年度に2012年度比30億円のコストダウン体制の構築を計画している。今村社長は「2014年度における約18億円の計画に対して、計画通りのコストダウンを見込んでいる。すでに様々な面での取り組みを実行しており、需給バランスの適正化により外部倉庫費用の削減、移動物流費の削減、大豆・ナタネ搾油ラインの圧抽兼用化による製造コストの削減などの実績をあげている。目標期限の次年度を見据え、現在、施策を積み上げており、計画通りにしっかりと進めていく」と強調した。
 一方、商品開発・技術開発においては「独創的技術力を集積し、マーケットにおける価値の創出、すなわちスペシャリティを実現する商品開発・上市と、他社が参入できない事業領域の創出を実現する」ことに取り組む。同社の成長戦略のベースとなる新たな研究方針として、油脂の構造と栄養機能の新たな潮流をリードする研究を進める。また、中鎖脂肪酸のチカラを脂質栄養と構造油脂の技術により引き出し、新たな価値を創出して予防医療分野での活用に繋げ、脳機能改善や新産業素材、予防医療等を新たな商品・技術の重点化領域にしていく。その具体的な成果として「中鎖脂肪酸に関するこの領域の新商品を来春発売する予定でいる」ことも明らかにした。