味の素が2015年3月期決算説明会を開催
posted on : 2015.05.15
味の素は5月8日、東京・中央区の本社において「2015年3月期本決算説明記者会見」を開催した。通期の連結決算は、売上高1兆66億円(前年比106%)、営業利益745億円(同121%)、経常利益828億円(同120%)、純利益465億円(110%)と通期予想を上回り、増収増益となった。
セグメント別に見ると、国内食品は連結子会社化したウィンザー社の11~1月の2カ月分の売り上げ反映により冷凍食品の売上高が大きく伸びたが、買収に関する一時的な費用が20億円発生し、全社共通費が10億円増えたことあり増収減益となった。海外食品はコンシューマーフーズや加工用風味調味料の数量増があり、換算為替もプラスに働き大幅な増収増益となった。地域別では日本が減益、海外が増益となり、営業利益の海外比率は60%となった。
2016年3月期の業績予想は、売上高1兆2,630億円(前年比126%)、営業利益820億円(同110%)、当期純利益500億円(107.5%)とした。売上高では各事業の成長に加えてウィンザー社とAGF社の連結効果による伸長、営業利益では海外・国内食品の伸長をそれぞれ見込んだ。また、今期より14-16年中期経営計画で定めた事業領域に沿った組織体制整備に伴い、開示事業区分を変更する。
コンシューマー食品に関する今後の成長の加速化について、伊藤雅俊取締役社長は、「味覚・食感・フレーバー、おいしさの三角形を、当社独自素材でスペシャリティ化したものにして、他の会社にはできない、香気とか風味という分野を新しく研究開発し、商品に反映して差別化、展開していきたい」と語った。例えば15年2月新発売の「Cook Do きょうの大皿 さば味噌用」では、おいしい香り成分を特定し、醸造発行技術で有効成分を凝縮した独自素材“醸造香”を活用することで味噌の複雑な風味を増強し、“香り豊かなおいしさ”を実現した。また、同社はうま味が後を引くおいしさを“コク味”と呼んでいるが、昨年、3つのアミノ酸が結合した新コク味物質「グルタミル バリル グリシン」の食品添加物認可を取得し、今年度より各種製品への導入を検討している。
さらに同社はAGF社と事業を連結することでR&Dの融合を図る。伊藤社長は「味の素の味覚研究と素材化する技術、AGFの(コーヒーの味や)香りの研究、それらを一体化しておいしさの科学から呈味・香気・食感を強く商品に利用していきたい」と話し、2014年度には国内・海外合わせて1,730億円であった事業規模を2020年には2,730億円にする展望を持つ。
海外食品については、タイ・ブラジル・インドネシア・ベトナム・フィリピンを指す“Five Stars”が伸びの中心となっており、フィリピンを除く4ヵ国ではトップシェアを獲得している。今後も風味調味料においては徹底してシェアの維持・拡大を図り、メニュー用調味料や粉末飲料の育成も強化する考えだ。今後の成長を期待するアフリカ・中東・インド・北米を指す“Rising Stars”に関しては、アフリカやインドにおける新製品発売や、欧州・ポーランドにおける味の素Jawa社の稼働、北米で4月にスタートした味の素ウィンザー社等を中心として、飛躍的成長のための基礎構築の加速を図る。