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かどや製油が来夏稼働の家庭用充填新工場を計画

 かどや製油の小澤二郎社長と佐野雅明専務が6月10日、都内で油糧関係記者と会見し、今期見通しや販売方針について説明した。その中で、同社小豆島工場内に家庭用の充填工場を新設することを明らかにした。
 同社は3年前に家庭用の主力商品向けに高速充填ラインを導入し、能力アップを図ったが、すでにフル稼働状態にある。「それ以外の小さな瓶や大きな瓶などの汎用ラインが老朽化してきたこともあり、これを一新する。(小豆島工場内の)敷地のレイアウトを変えて、すでに整地に入っており、15年夏くらいに稼働の新工場を作り、より柔軟な家庭用の販売増に対応していきたい」と佐野専務。3年前に導入した高速充填ラインは150~400gに対応しているが、今回の新ラインは30~600gまで充填でき、ラー油や輸出用の大型瓶をカバーしつつ、幅広い充填に対応できる。設備投資額は約20億円を予定している。

 小澤社長は15年3月期の業績を振り返り、「前期の売上高は240億円台に乗ったが、経常利益16億円程度で終わってしまい、深く反省している。値上げは実施したが、1社だけで思うようにいかなかった」とと語った。競合他社も昨年後半からゴマ油の値上げに動き、価格差は縮まってきており、「今期は、家庭用の出足は好調で、上期中にある程度数量を乗せていこうと努力しているが、業務用は期待通りの数量まで届いておらず、夏場の展開に神経を尖らせている」という。一方、輸出は昨夏に値上げを実施し、大きな反動もなく販売が進み、「37億円近い売り上げになってきた。今年は40億円まで持っていく努力をしている。米国ではゴマ油だけでなく、練りゴマがブームになっている」が、メキシコ産など割安な製品との競争は激しい。そのため、コストダウンを含めて施策を検討していく考えだ。

 今期の販売方針について佐野専務は「売上高予想は255億円ということで、前年から14億5,000万円増、6%増と意欲的な販売計画」であることを強調した。その中で家庭用のゴマ油で約10億円増を見込む。PBの立ち位置や、値上げの追随や容量減を含めて競合他社の販売戦略が変化してきたことが、かどや製油のNBの価値を相対的に押し上げていることが追い風だ。同社の家庭用は今年1月はじめから前年比110%以で推移している。
 一方、業務用については「昨年は焼肉屋チェーンが好調だったが、ここへきて中華料理屋、焼肉屋が苦戦している。中食と内食が増え、レストランは厳しく、純正ゴマ油の使用を減らす傾向が強い。業務用の足元の販売状況は前年比100%前後で推移している」と語った。業務用も値上げを行ってきたが、十分な利益が取れる水準まで上がったわけではなく、「原料が下がったから安売りできる状態ではなく、業務用は積極的な商売に打って出られない」現状にある。