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止まらない花王の利益ある成長

 花王は11月25日、東京・港区のホテルニューオータニにおいて有力販売店との懇談会を開催した。懇談会に先立ち花王の澤田道隆社長、吉田勝彦専務と、花王カスタマーマーケティング(花王CMK)の竹内俊昭社長が記者会見し、市場の状況や花王グループの現状、事業の方向性などについて説明した。
 澤田社長ははじめに今期第3四半期までの業績について「売り上げは予定線内、利益は少しプラスできている。利益的には良い形で第3四半期まで過ぎた。10月は天候が良く、原材料や為替も安定しており、想定を少し上回るくらいで終われた。11月は予定線で進んでいる。12月を良い形で乗り切って、2015年を締めたい。結果として6期連続増収増益、中期計画K15の達成を目指したい。今のまま上手く進んで行くとその達成が十分に可能なところまできている」と澤田社長は順調ぶりをアピールした。
 花王の業績の好調さを支える要因のひとつは、「約2年以上、シェア増が続いている状況にある。一時は全体のシェアアップをベビーおむつが引っ張っている時期もあったが、今はそのウェイトはかなり減ってきており、ホームケア製品もスキンケア製品も良く、バランスの取れた形でシェアアップしている」というように国内で高いシェアを実現していることにある。また、海外も好調で、「特にアジアは売り上げ・利益とも良い形で進んでいる。欧米のコンシューマー製品、特にビューティケア系は14年は少し苦戦したが、15年は非常に堅調に進んでいる」。また、ケミカル事業は、原材料価格が下がったこともあり、販売単価を少し下げざるを得ない状況にあるが、しっかりと利益を確保している。

 一方、花王グループ中期3カ年計画K15は今年で終わるが、すでに2020年に向けた次期計画K20に向けた準備を開始している。「ひとつは、今少し苦戦している化粧品を大改革して、特長のある化粧品ブランドを再度構築していきたいということで、ソフィーナの大改革を11月からスタートした」。銀座に情報発信基地の(SOFINA)Beauty Power Stationを設置し、カウンセリングを強化するとともに、土台ケアブランドとして新商品「SOFINA iP」を投入して、「ソフィーナ」の大改革を進める考えだ。澤田社長は「2016年はカネボウの大改革に踏み切りたい。化粧品に関しても次の大きな成長の柱として進めたい」と語った。
 一方、グローバル展開では、インドネシアで新商品を次々に出している。昨年6月に衣料用粉末洗剤(手洗い用)の「アタックJaz1」、同9月に「メリーズパンツ Good Skin」、そして今年9月に全身洗浄料の「ビオレ Sofsoap」を発売し、いずれも販売が好調に推移している。「ルピア安が続いているが、今はシェアを伸ばしている。ルピアも必ず安定してくるから、そこでしっかりと利益が出るような方向に進めようと、厳しいときにこそ積極的に投資をしている」という。
 K20の詳細については2017年2月の16年12月期決算発表時に公表する見通しだが、「2016年は準備の年として非常に重要な年と認識しており、そこでしっかりと土台作り、地盤固めをして行きたい」と澤田社長は強調する。