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日清オイリオグループ・久野貴久社長が就任会見

 6月23日付で就任した日清オイリオグループの久野貴久社長が8月3日、同社内で就任会見を行った。
 久野社長が施策の重点テーマに挙げたのは、まず今年度からスタートした中期経営計画「OilliO Value Up 2020」の達成に向けた取り組みに尽きる。同中計では5つの成長戦略と2つの基盤強化策を掲げているが、久野社長は特に3つのポイントを示した。
 ひとつめは「ホームユースを中心として、さらにオイリオブランドの一層の強化を進めたい。もう一方では、油のマーケットとしては引き続き中食・外食領域がまだ伸びると思うので、ここにさらなる注力をしたい。健康アプローチもあろうかと思うが、中食・外食の現場では機能性や使い勝手、また特に最近、物流と人手不足の問題が出てきている。今までのアプローチと違う形で、人手不足や、働く方の高年齢化などへの対応が求められる。あるいは実際に中食惣菜を買い求めるお客様に対し、より健康やおいしさであったり、もっと言うと、家庭での食卓をより豊かなものにしていくことを間接的なアプローチの仕方での提案になるかもしれないが、注力していきたい。加工食品のようにBtoBの世界でもユーザーが求めるものは同じようなことと思う。直接的、間接的なソリューションを強めていきたい」という。
2つめは「一層のグローバル化。と言っても単に国内と海外ということではなくて、もちろんこれは国内を含めて、グローバルでの展開を考えていきたい。特に、加工油脂、ファインケミカルは従前から国内も含めたグローバル展開を進めてきているが、もう一段加速したい。ひとつは、マレーシアのISF社を中心としたワールドワイドなサプライチェーンの構築で、よりお客様に近いところでサービスを提供したり、ソリューションを突き詰めていく。ASEANを中心とした東南アジアや中国を含めた地域での成長を取り込むという意味では、加工油脂を中心とした動きになろうかと思うが、事業基盤プラットフォームの構築を手掛けていきたい。子会社の大東カカオのビジネスとして、インドネシアでチョコレート事業の合弁を組んだ。こうした動きは2020年度までの間に、もうひとつふたつ何か手を付けられればと考えている。具体的に今、何か案件があるわけではないが、この4年の中でそうした取り組みを進めたい」と述べた。また、「ファインケミカルについても、国内での販売が好調に推移してきている。上海の日清奥利友(上海)国際貿易有限公司においても、中国での事業の取り組みは順調に推移しており、もう一段この動きを加速していきたい。中国以外のアジア地域でも加工油脂と同じような取り組みを行い、成長市場の取り込みに向けた動きを進めたい。また、化粧品原料の主な需要地は欧州にあるので、子会社のIQL社を十分に活用しながら販売拡大に努めたい。加工油脂、ファインケミカルは、やや尖兵となりながらグローバル展開の加速を進めていく。点から面へとサプライチェーンを結び、事業プラットフォームを構築しながら、できるだけ厚みを持った形で進めていく。チョコレートを含む加工油脂関係、ファインケミカルは、能力増強も考えながら、国内市場についても注力していきたい」との考えを示した。
3つめは「注力したいのは、ヘルスサイエンス事業。ひとつはMCT(中鎖脂肪酸)を基軸とした展開をしていきたい。それから、当社のこれまで培ってきた構造油脂技術や、油脂結晶をコントロールする技術をMCTと絡めながら、本格的に進めていきたい。できるだけ早く、ここについては改めてお伝えできるような状況にしたい」と意欲を見せた。
 「ヘルスサイエンスでは、サイエンスと言っている以上、相応の覚悟を持って取り組んでいかなければならない。MCTにしても、単純にそれを売れば良いということではないと思う。健康基軸がますます重要になる中で、それに対する期待感や価値を認めて頂くことが大きなポイントになる。ヘルスサイエンスを事業として見たときに、柱というより梁のような捉え方で、製油事業や加工油脂を土台に、生産技術・生産基盤を生み出していく、あるいは提供していくものとして、全社の旗印としたい」と語った。