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カネカが乳製品事業に参入
ベルギー・Pur Natur社と技術提携

 カネカは3月28日付で新たに乳製品事業に参入ることと、高品質でおいしさを追求した乳製品の開発、製造を目的に、ベルギーのPur Natur Invest BVBA(Pur Natur社)と今年1月に技術提携していたことを発表した。この乳製品事業の展開についてカネカは4月5日、東京本社で説明会を開催した。
 説明会でははじめに天知秀介取締役常務執行役員が昨年4月に刷新した同社の経営体制と、乳製品事業の参入について説明した。同社は従来の9事業部制に変えて4つのSolutions Unit制を昨年度から敷いており、「素材売りのビジネススタイルからソリューション型のビジネススタイルへ変え、その変革を通じてカネカ自信を成長し発展させていく」ことを目指している。今回の乳製品事業は、健康と豊かな「食」に貢献するNutrition Solutions UnitのFoods & Agris Solutions vehicleが(Food & Agris SV)担っており、「まさにソリューション型のビジネスを構築して、経営体制刷新のひとつの象徴的な代表例になる」との考えを示した。
 食の多様化や豊かな食への貢献、あるいは疾病予防、健康増進への貢献、また、農業・畜産・水産分野の生産支援に寄与していくために「色々現在取り組んでいることがあるが、カネカは食品業界の川上・川中・川下の中では川中にいる。今回の乳製品事業参入については、川上・川下の課題についてソリューションを提供しようという思いで決意した」と語った。
 続いて、榎潤常務執行役員(Food & Agris Solutions Vehicle事業部長)が乳製品事業の概要を説明し、「Food & Agris SVはベーカリーや菓子を中心に業務用の食品素材を提供してきている事業である。マーガリン、ショートニング、イーストになるが、特にマーガリン類とイーストを両方持っているメーカーは世界でもカネカしかない。フィリングやホイップクリーム、最近は新しい機能素材もあり、油の加工と発酵技術の2つの技術を軸に展開してきた。カネカ食品を数年前に全国1社体制にし、全国で30の販売支店を展開しており、工場も関東と関西の東西体制を組んでいる。昨年4月に、カネカ北海道という地域統括会社を設立し、北海道経済を活性化していこうと様々な事業を展開している。Food & Agris SVでも従来、製パン・製菓向けに北海道で素材を提供してきたが、今回さらに農業分野、酪農分野に参入し、そこから北海道ブランドで全国にわれわれの販売網を使って展開していきたい」と語った。
 乳製品事業の概要や将来ビジョンについては「ひとつのポイントは酪農から乳製品の生産販売まで一貫した乳製品事業を新規に展開したい。単に乳製品を作る、原乳を調達してきて乳製品を作って売るという仕事ではなく、酪農業から一貫した事業というサプライチェーンを作ろうということである。原料の牛乳は北海道の酪農家から調達する。もうひとつのこの事業のポイントは、ベルギーのPur Natur社との技術提携をベースに、欧州の技術を持ち込んで、北海道の生乳を使って、今までにない、国内にはない品質を実現することである。この4月には牛乳(商品名『パン好きのための牛乳』)を発売した。すでに首都圏・関西圏のベーカリーを中心に、スタート時点で200店舗くらいに販売している。(発酵)バターは5月からベーカリー、菓子顧客向けの業務用とからスタートしたい。さらに、Nutrition Solutions Unitの中にはサプリメント事業があるが、その中の乳酸菌等の技術も合わせて、新規にヨーグルト事業等、乳製品事業の製品を拡大していき、5年後には売上高200億円を目指したい」としている。B to B to C(家庭用)では、牛乳のほかにヨーグルト、バター、チーズなどの製造販売も検討対象になっており、ベーカリーだけでなく、CVS他、高級スーパーなどの販売チャネルも視野に入れていく。