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三洋化成工業が近化協の環境技術賞を受賞
「洗浄力と生分解性を両立した衣料用洗剤基剤」

 近畿化学協会は5月25日、大阪科学技術センターにおいて第35回社員総会を開催するとともに、名誉会員推戴式、終身会員証の贈呈式、第70回科学技術賞及び第18回環境技術賞表彰式を行った。
 その中で、三洋化成工業の荒木佑介氏(事業研究第一本部活性剤研究部)が「洗浄力と生分解性を両立した衣料用洗剤基剤」で環境技術賞を受賞し、近化協の江口太郎会長より表彰を受けた。環境技術賞は、化学に関連する技術で地球環境の共存並びにその維持・改善を積極的に意識し、方向付けがなされた新技術・改良技術で、工業的・社会的・学術的価値が明らかになったものについて、顕著な業績が認められたものに贈られる。受賞の対象となった技術は、昨年4月に開発した皮脂汚れに対する洗浄力と生分解性が良好な衣料用洗剤基剤で「エマルミン CS-100」として上市されている。
 衣料用洗剤の液体化が進んできた中で、非イオン界面活性剤とアニオン系界面活性剤を併用するケースが増えている。皮脂汚れの洗浄力に優れることから、非イオン界面活性剤は基剤に活用されており、生分解性に優れ環境に優しい高級アルコールのエチレンオキシド付加物などが用いられている。昨今、洗濯に対するニーズが、節水や時短など多様化する中で、より高い洗浄力が求められるようになっているが、皮脂汚れの洗浄力を向上させるために非イオン界面活性剤の親油性を上げると、生分解性が低くなるという課題があった。
 三洋化成工業は、独自の界面活性剤の設計技術を活用し、天然由来の高級アルコールをベースとしたエチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合型の非イオン界面活性剤として分子構造を最適化することにより、優れた生分解性を大きく低下させることなく、洗浄力を大幅に向上することに成功し、「エマルミン CS-100」を上市するに至った。
 従来の非オン界面活性剤に比べて低濃度でも優れた洗浄力を示すため、使用濃度を低減し、他の付加価値成分を添加するといった洗浄成分の配合自由度の向上にも貢献している。
 同技術を開発し、表彰を受けた荒木氏は「洗浄力を上げるとどうしても生分解性が下がってしまう、そのバランスの部分が開発で難しかった。分子構造を最適化したところが一番工夫した。今回は衣料用の洗浄剤だが、界面活性剤はあらゆる分野で使われているので、住居用洗剤だったり、乳化剤などの分野でもそれぞれ求められる性能と生分解性を両立できるようにモノづくりをしていきたい」と喜びを語った。
 なお、近化協は2019年に創立100周年を迎える。来年1月18日には、近畿化学協会の前身となる近畿化学者会が発会式を開催した大阪市中央公会堂で100周年記念式典を行う予定となっている。今回の社員総会や表彰式等を終えた後には、近畿化学協会100周年記念事業男女協働企画部門講演会や、特別講演会なども実施された。