AAKミヨシが恒例の「The Co-Development Day」
posted on : 2018.07.15
ミヨシ油脂とスウェーデンの大手油脂メーカーAAK、両者の合弁会社であるAAKミヨシジャパンは、3社共催で顧客などに近況や技術情報などを提供する講演を含めた交流会「The Co-Development Day」を7月6日、東京・代官山のヒルサイドテラスで開催した。
セミナーでははじめにAAKミヨシジャパンの三木勝喜社長が挨拶を行い、「このセミナーはAAKの根幹をなす大きな事業である。なぜThe Co-Development Dayかというと、ただモノを作って売る会社ではなく、顧客の課題やニーズ、要望をともに解決していくソリューションの会社と認識してもらえると幸いである。モノを売るために、売る側の都合で話をして成功する会社ももちろんあると思うが、AAKは顧客と一緒になり、あるいは顧客にAAKを仲間に加えてもらって、ともに事業の発展のため、夢を叶えるために活用してもらう場と考えてもらいたい。AAKというグローバルに、先進的に世界をリードしているスペシャリティファットの会社と、日本で100年近く油脂事業に携わっているミヨシ油脂の長い間の経験と、皆様との親しい関係、この事業が大いに皆様の役に立つように努力していきたい」と述べた。
セミナーは2部構成で、第1部ではAAKミヨシジャパンからAAK社とその製品等に関するプレゼンテーションが行われた。「AAKの可能性」についてはAAKミヨシジャパンのマイケル・スクライバー代表取締役が説明した。AAKは世界に20の工場を持ち、欧州や米国、コロンビアから、この10年間にはインドのムンバイやマレーシア、そして直近では昨年、中国の張家港にも新工場を立ち上げた。「今後はフィリピンにも工場を建てるということで、パートナーシップを結んだ。アジアの需要が高まっている」というように、フィリピン・バタンガス州の油脂精製企業であるSan Pablo Manufacturing Companyの敷地に新たなカスタマイズ工場を建設し、2018年内の稼働を予定している。
日本ではミヨシ油脂の千葉工場内にバルクのCBE設備を持つが、「ミヨシ油脂との提携の中で、仕事を進め、また、新しい製品を作りたい。日本での市場シェアを拡げたいからだ。耐熱性等に優れる「TROPICAO」をはじめとしたチョコレート用油脂にとどまらず、フィリングやアイスクリーム、ペストリー用の油脂、育乳や高齢者用の特殊栄養製品などの提案にも力を入れていく考えだ。
スクライバー氏は「長年様々な企業とパートナーシップを組んできた。特に、機能性、健康を意識し、また、できるだけ低価格で高品質なものをそれぞれの市場に合わせて提供することを考えている。AAKは世界各国のトレンドに合ったもの、ローエンドからハイエンドまで役に立ちたい。新製品を作るには協力して共同開発をする相手先のお客様を作るところからだと考えている。そこで何らかの示唆を得て、例えばチョコレートや栄養食品を日本で開発して、それをまた海外へ出していくこともあるだろう。グローバルネットワークもAAKは持っている。カスタマーイノベーションセンターが世界各地にある。シンガポールに今年9月に新しいセンターができる。日本国内にも東京にナショナルセンターを第2四半期に開設する予定だ」と語った。
引き続き、AAKミヨシジャパンの島津文範セールスディレクターがシア原料調達について、AAKのカーステン・ニールセン最高技術席責任者とAAKミヨシジャパンの上山惟太カスタマーイノベーションマネージャーがAAKのチョコレート技術と製品について説明した。
第2部では、はじめに順天堂大学協力研究員の押田恭一医学博士が「ヒトの健康に与える脂肪酸栄養の重要性」をテーマに講演した。特に、EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸の積極的な摂取や、リン脂質の重要性について説明した。また、AAKのレナルド・マッキントッシュ特殊栄養部門最高責任者がAAKの特殊栄養製品を紹介した。AAKは、油脂を起点にした乳児、医療、高齢者向けの各種栄養製品も数多く取り揃えている。植物油脂各種とそのブレンド品、またオーガニック製品、リン脂質などを含めた構造脂質など幅広い。一例を挙げれば、リン脂質のソリューションとして、DHA/EPAをグリセロール骨格のsn-2位に持ち生体利用効率に優れた独自の構造のものなどもあり、乳幼児栄養から妊婦、成人、高齢者まで幅広いターゲットの製品開発に役立てられている。また、バイオアクティブリピッドとしては、MCTや、異なる脂肪酸を組み合わせた構造脂質などがあり、吸収不良や栄養不良、代謝障害、早産乳児用調製乳、スポーツ、高齢者、医薬品、非経口栄養剤など様々な分野に活かされている。